左手のピアニストの祭典
〈風と緑の楽都音楽祭2019〉の「左手のピアニストの祭典」に立ち会うため北陸新幹線で金沢へ。
音楽祭自体は5月の3-4-5日を中心に百以上のコンサート/イベントで構成されているが、その中の一つ「左手のピアニストの祭典」は、昨年11月に行われ私も審査員の一人を務めた「公開オーディション」の最優秀賞2人が演奏するコンサート。演奏曲は・・・
・エスカンデ〈アンティポダス〉より(p:月足さおり)
・吉松隆:左手のためのピアノ協奏曲〈ケフェウス・ノート〉より(p:瀬川泰代)
・ノルドグレン:〈小泉八雲の怪談~死体にまたがった男〉(p:舘野泉)。小松長生指揮オーケストラ・アンサンブル金沢@金沢県立音楽堂。
左手のためのピアノ協奏曲ばかり3曲…というのも珍しいが、左手のピアニスト3人の競演というのも珍しい。しかも、片手での演奏を始めた時期も原因も三者三様(月足さおりさんは生まれつきの脊髄の病気から、瀬川泰代さんはピアニストを目指す学生時代に発症した局所性ジストニア:神経系の運動障害から、舘野泉さんは六十代になっての脳溢血による半身麻痺から)。これは、運動機能と神経/脳そして演奏法や音楽性との関係を医学的(かつ音楽的)に研究する人にはかなり興味深い音楽会だったのではなかろうか(などと、むかしむかし一度は医者を目指した身としては考えてしまう)。そこには音楽を手にした人間の「生命力の強さ」を感じさせる美しい時間が流れていた。
天気も良く、街中が音楽に満ち溢れているような素敵な時間を堪能させて貰ったが、残念ながら(ほんの一時間だけ、近江町市場から金沢城公園まで散策したあと)一身上の都合で日帰り。連休真っ只中の行楽日和の一日とあってどこもかしこも人で溢れていて、ヨーロッパまで往復したかと思うほどくたびれた(笑