遊楽図の系譜
遊びをせんとや生まれけむ…という宣伝コピー冒頭の文言に惹かれて、サントリー美術館の「遊びの流儀〜遊楽図の系譜」展を見に行く。
平安時代(源氏物語絵巻)から江戸時代まで、貴族や庶民が遊び(ゲーム/踊りなど)に興じている図/屏風絵を中心に、遊具(かるた/双六など)も展示したなかなか興味深い内容だ。
最初の部屋に入ってすぐが、←清盛と後白河法皇も興じていた双六。現在では「双六(すごろく)」というと絵が描いてあって最終的な「あがり」に向かって駒を進めてゆく「絵双六」だが、この頃のモノは…サイコロを振って駒を進めてゆく…というのは同じでも、どちらかと言うと将棋や碁に近い頭脳戦の趣きがある。
それにしても、歌っていたり踊っていたりする人が描かれている絵を見るたびに、画面に登場する「楽器」が気になって仕方がない。弦の数・演奏する指の形・駒やバチの形状などなど、ガラスケースに顔を押し付けて息で曇らせながら凝視し、横で並んで見ている女性に不審がられること数回(笑。
平安時代は箏・琵琶・笛・鼓…が主流の少人数で聴く室内楽だが、江戸時代になると三味線が登場し太鼓も加わり屋外で大勢のダンスになってゆくのも面白い。バーで聴くジャズがスタジアムで聴くロックになったような変化だったのだろうか。しかし、肝心の音は残念ながら屏風絵からは聞こえてこない。「どんな音だったのだろう?」と一枚一枚の絵を見ながら…妄想の翼はぱたぱたと虚しく美術館の壁を飛び回る。
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