祇園祭の一角獣
祇園祭には、男たちが神輿をかついで夜中の街を疾走する神幸祭や、複雑なのかシンプルなのか分からないコンチキチンのお囃子などなど、不思議なアイテムが色々あるのだが、もともとが疫病災厄よけの呪術的な意味合いから千年以上昔に始まった祭。今となっては「どうしてこんな風にするのか実は良く分からない」という事も少なくないのだそうだ。
ちなみに、私も30年ほど前(1988年)京都市交響楽団から「京都をイメージした作品」と云う委嘱を受けて京都を訪れたとき興味をひかれたのが、山鉾巡行の先頭を行く長刀鉾の正面水引幕に描かれた「五彩雲麒麟の図」。「麒麟(東洋の一角獣)」を先頭にして20基以上の山鉾が市内を結界の回路図を描くように練り歩く…という「なぜ?」に興味津々となった。
…のだが「なんで一角獣なんですか?」と京都の人に聞いても「さあ」と微笑むばかり。「こりゃ面白い」と書きかけのファゴット協奏曲のタイトルを〈一角獣回路〉とした次第(笑。…もうひとつ、「馬」(独奏者が馬込勇さん)が、一本のツノ(ファゴット)を持っているから…という意味も兼ねているのだが、30年ほどたった今となっては「どうしてそんなヘンなタイトルにしたのか良く分からない」と笑われそうだ。