新世界を造った女性たち
FM「ブラボー!オーケストラ」2本の収録にNHK404スタジオへ。
9月29日(日)放送分は、ドヴォルザーク:交響曲第9番〈新世界から〉。チョン・ミョンフン指揮東京フィル(2019年7月18日の東京フィル第924回サントリー定期より)
10月6日(日)放送分は、同じ公演から、シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(vn:クリステル・リーさん)。および小林研一郎さん指揮でスメタナ:交響詩〈モルダウ〉(2019年1月8日第12回平日の午後のコンサートより)
新世界交響曲は今までもさんざん放送したし解説してきたので、今回はちょっと目先を変えて、そもそもドヴォルザークをアメリカに招聘したお金持ちの女性ジャネット・メイヤーズ・サーバー(Jeanette Meyers Thurber 1850-1946)という人について調べてみた。
この女性、NY生まれでデンマーク系移民のヴァイオリニストの娘さん。パリ音楽院で音楽を学び、19歳の時に食料品販売の夫と結婚。商売が成功して結構な富豪になったことから、そのお金でアメリカのクラシック音楽普及に情熱を傾け、音楽祭やオーケストラの後援をし、さらにオペラカンパニーや音楽学校まで創設してしまう。そして、その新しく造ったナショナル音楽院に箔を付けるため、学長に誰か有名な大物音楽家を…と考えて文字通り「白羽の矢」が立ったのがドヴォルザーク。当時50歳でプラハの音楽院の教授をしていて英語も話せたので、まさに適材!ではあったのだが、当人はそんな遠いところに行くのはイヤ…と固辞。しかし、彼女は諦めず、プラハでの彼の給料の25倍!とも言われる破格の年棒を提示し、その金額に驚いた奥さんが旦那を説得。結果、アメリカ行きを決意したのだそうだ(ただし、ホームシックに駆られてわずか2年半で職を辞して帰国してしまうのだが)。
つまり(歴史に「もしも」は禁句ながら)、この女性の無謀な押しの一手と夫人の説得がなかったら、新世界交響曲もチェロ協奏曲も弦楽四重奏曲アメリカも生まれなかったわけで、新世界の生みの親はこの二人の女性と言っていいのかも知れない(のかも知れない)。
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