渋谷でハロウィン
ここ数年、渋谷のスクランブル交差点がハロウィンのメイン会場みたいになっている。
何でまた渋谷で?という疑問は当然で、渋谷生まれ渋谷育ちの私も、20世紀に渋谷でハロウィンなどやった記憶はない。原宿のキディランドが1980年代に小規模ながら仮装パレードなどを仕掛けていたのを思い出すくらいだ。渋谷に集まり始めたのはせいぜいここ7-8年。東日本大震災の年(2011)あたりからだ。
ただし大元は、今の代々木公園の前身であるワシントンハイツという在日米軍施設(だと思う)。戦後アメリカ軍が占領下の日本に入ってきたとき、彼らの家族の居住施設として造った団地のような場所で、1964年東京オリンピックの時に返還されて選手村となるまで、渋谷の真ん中にアメリカがあった。
私の実家はなぜかその近くだったので、フェンス越しに米軍の子供たちとケンカし合ったり(と言っても何語か分からない悪口を言い合う程度だが)、幼稚園に軍関係の市民の子供(黒人の子だった)が入園してきて友達になったりした記憶がある。(かのジャニーズ事務所を造ったジャニー氏が一時ここに住んでいたそうで、このあたりで野球をやっている男の子を集めて造ったのがジャニーズ事務所。なので初代ジャニーズ4人は全員同じ中学の先輩である(笑
当時はまだ日本が貧乏だった頃。独立記念日に花火をあげたり、クリスマスにツリーやイルミネーションを飾ったり、大きなアメ車を乗り回していたり、電気冷蔵庫や電気掃除機やテレビが普通に家にあったり、フェンスの向こうのアメリカは眩しかった。そこで真っ先に真似したのがクリスマス。「なんだか知らないけどケーキが食べられてプレゼントが貰える」日として、意味も分からず電飾付きのツリーを飾ったりサラリーマンがケーキ片手にふらふらし出したのは渋谷が最初なのかも知れない。
その頃も、子供が仮装して近所の家を周り「Trick or Treat」と言ってお菓子を貰う…という妙な風習のことは知っていたが、「日本じゃ流行らないよね」と誰もが思っていた。実際、何度か色々な人が仕掛けたそうだが不発に終わっている。それが60年近くたってこの騒ぎになるとは…。時の流れというのは面白い。