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2019年10月

2019年10月31日 (木)

渋谷でハロウィン

Halloweenここ数年、渋谷のスクランブル交差点がハロウィンのメイン会場みたいになっている。

何でまた渋谷で?という疑問は当然で、渋谷生まれ渋谷育ちの私も、20世紀に渋谷でハロウィンなどやった記憶はない。原宿のキディランドが1980年代に小規模ながら仮装パレードなどを仕掛けていたのを思い出すくらいだ。渋谷に集まり始めたのはせいぜいここ7-8年。東日本大震災の年(2011)あたりからだ。

ただし大元は、今の代々木公園の前身であるワシントンハイツという在日米軍施設(だと思う)。戦後アメリカ軍が占領下の日本に入ってきたとき、彼らの家族の居住施設として造った団地のような場所で、1964年東京オリンピックの時に返還されて選手村となるまで、渋谷の真ん中にアメリカがあった。

私の実家はなぜかその近くだったので、フェンス越しに米軍の子供たちとケンカし合ったり(と言っても何語か分からない悪口を言い合う程度だが)、幼稚園に軍関係の市民の子供(黒人の子だった)が入園してきて友達になったりした記憶がある。(かのジャニーズ事務所を造ったジャニー氏が一時ここに住んでいたそうで、このあたりで野球をやっている男の子を集めて造ったのがジャニーズ事務所。なので初代ジャニーズ4人は全員同じ中学の先輩である(笑

当時はまだ日本が貧乏だった頃。独立記念日に花火をあげたり、クリスマスにツリーやイルミネーションを飾ったり、大きなアメ車を乗り回していたり、電気冷蔵庫や電気掃除機やテレビが普通に家にあったり、フェンスの向こうのアメリカは眩しかった。そこで真っ先に真似したのがクリスマス。「なんだか知らないけどケーキが食べられてプレゼントが貰える」日として、意味も分からず電飾付きのツリーを飾ったりサラリーマンがケーキ片手にふらふらし出したのは渋谷が最初なのかも知れない。

その頃も、子供が仮装して近所の家を周り「Trick or Treat」と言ってお菓子を貰う…という妙な風習のことは知っていたが、「日本じゃ流行らないよね」と誰もが思っていた。実際、何度か色々な人が仕掛けたそうだが不発に終わっている。それが60年近くたってこの騒ぎになるとは…。時の流れというのは面白い。

2019年10月29日 (火)

映画「ジョーカー」

Joker 話題の映画「ジョーカー」を見に行く。

しかし、始まって30分ほどで見に来たことを後悔する。ほかにもそう思った方は居られたようで、何人かがそそくさと出て行ったが、決して作品の出来が悪いのでも暴力描写が生臭すぎるせいでもない(ちなみに映画自体はR-15指定)。亡霊とか野盗とか宇宙人とかサメが襲って来る非現実的な怖さと違って、この映画に出て来る怖さは…「いじめ」「理不尽な暴力」「貧困」「老親の介護」「配偶者なし、友達なし」「人に言えない持病」「失職」などなどリアルすぎて怖すぎ「笑えない」のだ。現実に「」内の闇を一つでも抱えてる人は、かさぶたを毟られる状態になるので見ない方がいい。しかし「見ない方がいい」と言われると見たくなるのが人の常で、私もその一人なのだが(笑

舞台はバットマンのダークナイトシリーズをさらにダークにした世界だが、それとは関係なく現代版「罪と罰」として物語は成立(スタンドアローン)している。ゴッサムシティの悩めるラスコリニコフが上記の多層的絶望の果てに覚醒し、ピエロの化粧をして「ジョーカー」と名乗り殺人を重ねるようになる。その中で「え?バットマンとジョーカーが兄弟?」と一瞬思わせるような展開もあり、街中がピエロのマスクをした暴徒に覆われジョーカーが悪のヒーローのように屹立するクライマックスに至る…のだが、ラストは「…というジョークを思い付いたよ」という独白で終わり、どこまでが現実で何処までが妄想なのか(さらに、何がオチで何が救いなのか)分からない仕様になっている。

ガラスをひっかく音を身体で表現したかのような主役のホアキン・フェニックスの怪演はすごいが、これを「シャイニング」の頃のジャック・ニコルソンが演じてたらどうなるだろう?と思いながら見ていた。(ついでに、これが「ジョーカー」でなく「ペンギン」だったら?…とも)「イヤなものを見てしまった」という後味の悪さが残る怪作だ。

2019年10月27日 (日)

プログレ取材

Sd先日、サウンドデザイナー誌よりプログレッシヴロックについての取材を受けた。

革新的(Progressive)ロックとはいうものの、キングクリムゾンの「クリムゾンキングの宮殿」(1969)あたりをプログレ元年とすると、早50年。なんと半世紀が経つわけだ。ちなみに写真のテーブルの上に置いてあるのは「タルカス」のスコア。この曲も元のアルバムの発表が1971年だから、48年前の作品。作曲者K.エマーソン氏も鬼籍に入られ、今や「クラシック音楽」ということになる。

そう言えば「現代音楽」というのも、シェーンベルクが無調の海に漕ぎだした時点(1910年代)から数えればもう100年。どちらも先鋭さが「懐かしい」という不思議な感慨に襲われる。

これから50年先、100先に音楽はどうなっているのか?…と思うより先に、果たして人間世界はどうなっているのか?…いや、そもそも存在しているのか?…そちらの方が心配になってくる。

2019年10月21日 (月)

追悼 吾妻ひでお氏

Aduma漫画家の吾妻ひでお氏がこの13日に亡くなった。69歳。

70年代に「不条理日記」(1978)で始まったSF+不条理ナンセンスの一連の作品(やけくそ天使/トラウマが行く/スクラップ学園/海から来た機械/ときめきアリスなどなど)には随分衝撃と影響を受けた。衒学的なまでのSF作品の引用パロディや想像を絶する天才的かつ奇妙なネタが、三頭身の可愛らしい人物や美少女やクリーチャーたちによって描かれる魔法のような異世界。ある種モーツァルトの世界に通じる天国的な透明感すら感じた。

おかげで、私がイラストで描く人物は、クレー+ミロ+吾妻ひでお。モノドラマ「トラウマ氏の一日」やテープ音楽作品「マーマレード回路」など氏からの影響を密かに受けた作品は数知れない(笑。

80/90年代はすっかり一線から離脱していたが、通信販売での「産直あづまマガジン」や「うつうつひでお日記」など(ファンとして買わせて頂いていました)のあと、不遇の時期を赤裸々かつ天国的に描いた「失踪日記」(2005)で復活。最近作の「カオスノート」(2014)では往年の「不条理日記」のテイストを取り戻され、これからさらに…と思っていたのだが。

合掌。

2019年10月15日 (火)

ボヘミアンの光と影

BohemiaFM「ブラボー!オーケストラ」10月分の残り1本の収録にNHK405スタジオへ。

今回は10月20日(日)放送予定分で、ウェーバー歌劇「魔弾の射手」序曲とドヴォルザークの交響曲第8番。小林研一郎指揮東京フィル(2019年10月8日第15回平日の午後のコンサートから)・・・の筈だったのだが、収録後、ラグビーのW杯放送の関係で11/10(日)に飛ばされることが決定。

ボヘミアの暗い森が舞台の「魔弾の射手」とボヘミアの明るい自然と肯定的人生を描く「ドボ8」という組み合わせ。ちなみに、ボヘミア(Bohemia)というのはチェコ中西部あたりを指す地名だが、古くはヨーロッパ東部(ドイツ〜ポーランド〜オーストリアの一部を含む)一帯の呼称だったようで、日本で言うと「東国/あづま」とか「坂東」「武蔵の国」といった感じだろうか。

都(みやこ)から見た東国と同じく、ボヘミアは良く言えば自然に溢れた素朴な・悪く言えば未開な田舎のイメージのある森と草原の広がる地域。人々は革の帽子に革のズボンで馬を乗りこなしていて(このあたりは坂東武者のイメージと重なって興味深い)、このスタイルがアメリカのカウボーイの起源になったと言うから面白い。

この「東(遠く)から来た異邦人」…というイメージが、ジプシー/ロマのような移動生活者/放浪者の呼称となり、さらに…さすらう旅人=芸術家肌で世間や因習に囚われない自由な人間(悪く言えば、定職のない住所不定の芸術家くずれ)…をボヘミアンと呼ぶようになる。ちなみに、マーラーはボヘミア地方(チェコ)生まれなので生粋のボヘミアン。クイーンのフレディ・マーキュリーはザンジバル生まれだがボヘミアン。人はボヘミアンとして生まれるのではなく、ボヘミアンになるのである。たぶん。

2019年10月14日 (月)

アライグマ後日談

Racoon先日、早稲田のリーガロイヤルホテルに寄ったところ、売店にアライグマのぬいぐるみが並んでいるのが目に入った。

聞くと、ホテルのマスコットなのだそうで、昔、成田のリーガロイヤル(現/成田ヒルトン)の庭に何匹かが出没して、そのまま中庭で飼われていたのが起源だとか。(そう言えば、朝早い便で飛行機に乗る時、何度か成田空港に近いリーガロイヤルに泊まったことがあるが、気が付かなかった)

ウチにも出没してるんですよ…え〜そうなんですか…という話から一匹お買い上げ。(しかし、この歳になってぬいぐるみを買うことになるとは…

2019年10月 9日 (水)

Poser 認証不具合の顛末

Poser新OSとは関係ないが、モデリングで愛用しているPoserというソフトの認証不具合に関する顛末のご報告。

使っているのはPoser pro 11(最新版…とは言っても2016年発売の日本語版)なのだが、これが数週間前からいきなり起動しなくなった。このソフトは、有効なシリアルナンバー(XN...という27桁)を購入し、それを入力してアクティベート(認証による有効化)する方式。購入してから数年間普通に使っていたのが、この度いきなりLicense Serverを名乗るウィンドウが開き「このライセンスは無効です」という可愛くない表示が出て起動できなくなった…というのが事の始まり。

Validネットで同じ不具合の報告を探すも、あんまり使っている人がいないのか(笑)、あるいは不具合が起きるのは稀なのか、ほとんど見当たらない。とにかく日本語版購入元のイーフロンティア、開発元のSmithMicroに問い合わせつつ、ソフトの再ダウンロードや再アクティベートなどを試みるうち、問題がこの「Lisence Server」にあるらしいことが何となく分かってきた。つまり開発元がこの新しいサーバーに世界中のユーザーの認証キーを移行して管理しようとしたものの、幾つかを移行し忘れたかあるいは全部を移行し切れていないため現時点で「有効」になっていない…というわけだ。

結局、日本版のサポートセンターにその旨を伝えて確認してもらったところ、どうやらこれが正解だったようで、開発元に連絡して認証キーを有効にして貰い、無事稼働するようになった。・・・というのが今回の顛末。もし同じようなトラブルに見舞われてる方が居られたらとご参考まで。

・・・思えば、昔はソフトにプロテクトをかける…などという発想も技術もなく、複製や改変し放題だった。それがコンピュータの普及や進化を促進した一面も否定できないが、それではソフトを開発制作する側がたまらないわけで、やがて勝手に複製できないようにパスワードだの認証だのアクティベートだのの技術が開発されて現在に至っている。それはそれで素晴らしいことなのだが、不当にソフトを使う人を強固にブロックするシステムというのは、今回のように何かの拍子に正当なユーザーをブロックしてしまうこともあるわけで。(古くはロボットの反乱などというイメージもあったように)思いもかけない原因でPCやAIで制御しているすべてのものが動かなくなる可能性がゼロではないということだ。…うーん、キャッシュレスが信用できなくて現金を持ち歩く人の気持ちも分からないではないような気がしてくる。

2019年10月 8日 (火)

Mac OS Catalina

MacoscatalinaMac 新しいOS Catalina(10.15)にアップデート。

システムが新しくなると、古くからのMac使いとして最も気になるのは…新しい機能より何より…「使えないソフトがどのくらい出て来るか」(何しろ漢字Talkからの古い付き合い。OS8/9とかXになったときの悪夢がいつもフラッシュバックするのである)

32bit今回の新OSから全てが64bit対応になり、古い32bitのものは使えなくなる。…ということは随分前から聞いていたので、いろいろ調整済みだったせいか特に想定外の問題はなし。それでも、使い込んだComicStudioとかScanSnapなどなど古いソフトがぞろぞろと押し入れ行き。使用不可のアプリケーションのアイコンの上に無慈悲に「X」マークが付いているのがちょっと悲しい。

追記:今回はメインマシンのiMacに最初にダウンロードしたのだが、インストールに長時間かかった上、そのあとも延々3時間以上「設定中」と出たまま画面が動かず音沙汰無し。結局我慢しきれず強制終了&再起動してしまった。MAILほか幾つかの設定が残務処理みたいに残ったものの、なんとかちゃんと新OSで起動したので、あのままもう何時間か待つのが良かったのか、単なるフリーズ状態だったのか、良く分からない。これからインストールされる方はご注意を。

2019年10月 1日 (火)

祭りと惑星とEKB

Img_0839 FM「ブラボー!オーケストラ」10月11月分2本の収録にNHK405スタジオへ。

10月13日(日)放送分は、フチーク「剣士の入場」、オッフェンバック「ホフマンの舟歌」、ドリーブ:バレエ組曲「シルヴィア」、レスピーギ「ローマの祭り」。バッティストーニ指揮東京フィル(2019年9月8日第81回休日の午後のコンサートから)。

11月17日(日)放送分は、ホルスト:組曲「惑星」。バッティストーニ指揮東京フィル/新国立劇場合唱団(9月13日第925回サントリー定期から)

オーケストラのいわゆるスペクタクル・サウンドを堪能する二大名曲だが、「ローマの祭り」(1928)は独裁者ムッソリーニが登場した時期にローマ帝国のネロ皇帝を描いた音楽から始まる作品。そして「惑星」(1914/16)はまさに第一次世界大戦真っ只中の時期に「戦争の神/火星」を描いた音楽から始まる作品。…と、その背景はちょっと怖い。共に、最後は平和に(ローマの祭りは賑やかな乱舞で、惑星は消えゆくような神秘の静けさで)終わるのが救いと言えば救いか。

後半の「惑星」では、担当ディレクター氏も少年時代からの天文マニアだったらしく、「水金地火木土天海冥」という呪文に始まって「水星の実視等級は…」とか「冥王星が準惑星になったいきさつは…」とか「小惑星帯とエッジワース・カイパーベルトは…」とおじさん二人で天文談義が始まる。そう言えば、エッジワース・カイパーベルト(Edgeworth-Kuiper Belt。海王星の外にある細かい天体の帯)から48人の宇宙人が来て〈EKB 48〉と名乗る…というジョークはどこで読んだのだっけ?

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