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2019年10月29日 (火)

映画「ジョーカー」

Joker 話題の映画「ジョーカー」を見に行く。

しかし、始まって30分ほどで見に来たことを後悔する。ほかにもそう思った方は居られたようで、何人かがそそくさと出て行ったが、決して作品の出来が悪いのでも暴力描写が生臭すぎるせいでもない(ちなみに映画自体はR-15指定)。亡霊とか野盗とか宇宙人とかサメが襲って来る非現実的な怖さと違って、この映画に出て来る怖さは…「いじめ」「理不尽な暴力」「貧困」「老親の介護」「配偶者なし、友達なし」「人に言えない持病」「失職」などなどリアルすぎて怖すぎ「笑えない」のだ。現実に「」内の闇を一つでも抱えてる人は、かさぶたを毟られる状態になるので見ない方がいい。しかし「見ない方がいい」と言われると見たくなるのが人の常で、私もその一人なのだが(笑

舞台はバットマンのダークナイトシリーズをさらにダークにした世界だが、それとは関係なく現代版「罪と罰」として物語は成立(スタンドアローン)している。ゴッサムシティの悩めるラスコリニコフが上記の多層的絶望の果てに覚醒し、ピエロの化粧をして「ジョーカー」と名乗り殺人を重ねるようになる。その中で「え?バットマンとジョーカーが兄弟?」と一瞬思わせるような展開もあり、街中がピエロのマスクをした暴徒に覆われジョーカーが悪のヒーローのように屹立するクライマックスに至る…のだが、ラストは「…というジョークを思い付いたよ」という独白で終わり、どこまでが現実で何処までが妄想なのか(さらに、何がオチで何が救いなのか)分からない仕様になっている。

ガラスをひっかく音を身体で表現したかのような主役のホアキン・フェニックスの怪演はすごいが、これを「シャイニング」の頃のジャック・ニコルソンが演じてたらどうなるだろう?と思いながら見ていた。(ついでに、これが「ジョーカー」でなく「ペンギン」だったら?…とも)「イヤなものを見てしまった」という後味の悪さが残る怪作だ。

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