銀座のブラームス
新シューベルト・シリーズ第6回の今回は、シューベルト晩年のミニアチュア「アレグレット」に始まり、シューマン「子供の情景」、グリーグ「ペールギュント」を経て、最後はブラームスの大作ピアノソナタ(第3番)。
彼女の演奏は(考えてみると)結構異形の表現(聞いたことのないアプローチ、聞いたことのない表現)に満ちている。しかし、それが微塵も不自然さを感じさせず「これほどの自然はない」と思えるほど「自然」に聞こえるから不思議だ。
特に今回のコンサートでは、ピアノの響き(ブラームスの強音からシューベルトの弱音まで)がぴったりホールと聴衆を包み込む絶妙な響きのバランスで鳴っていたこともあり、息を呑むような美しさ。響きは奔流となって押し寄せるのに、まるで時が止まっているかのような静謐さがあり、深淵を覗き込むような(そして深淵から覗き込まれているような)情感が漂う。
終演後、ブラームスの余韻を肴に銀座で一杯。さすがに熱燗…は合わないので、近くのバーでアイリッシュ・ウィスキー(Jameson Black Barrel)を。
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