ワクチンとしての音楽
いつまで続くか分からない新型コロナ禍に覆われた世界の底に蠢きつつ、もしかしたら音楽家というのは普通の人より不遇に対する耐性が強い(鈍い?)のかも知れない、とふと思う。
考えてみれば「今月も収入ゼロです」とか「残念ながら落選です」とか「演奏会がナシになりました」とか「ここ半年ほど仕事はありません」とか「申し訳ありませんがボツです」とか「悪いけどギャラは出ません」とか「今回はなかったということに」などという台詞は昔から聞き慣れ過ぎていて、今更そのくらいのことでいちいち絶望を感じたりはしない。(特に作曲家は!)
そもそも音楽家なら誰でも(褒められっ放しで育った一部の不幸な?天才を除いて)そういう不遇ウイルス禍の中を這い上がって来ているので、(多かれ少なかれ)不遇への抗体を持っている。それを乗り越え生き残った人だけが音楽家を続けていると言ってもいいくらいだ。
なので、もし抗体のない一般の人でも「音楽」を聴いて何か力付けられることがあるのだとしたら、音楽家の持つそういった不遇ウイルスへの免疫力が、音を通じて伝わるから…なのかも?知れない(…と思うのだが、どうだろうか)。