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2020年7月

2020年7月31日 (金)

映画の中の生と死と

GodzillaaNHK-FM「ブラボーオーケストラ」8月9月放送分2本の収録にNHKへ。

8月23日(日)放送分は、「魅惑の映画音楽」というテーマで、伊福部昭「SF交響ファンタジー第1番」(岩村力指揮)、ニーノ・ロータ「道」(バッティストーニ指揮)、モリコーネ「ニューシネマパラダイス」から愛のテーマ(三ツ橋敬子指揮)。+映画に因んだ名曲選。シュトラウス「美しき青きドナウ」(2001年宇宙の旅/小林研一郎指揮)、マーラー「アダージェット」(ベニスに死す/ミョンフン指揮)。

9月6日(日)放送分は、「生誕250年/ベートーヴェンの交響曲」というテーマで、エグモント序曲(小林研一郎指揮)、交響曲第7番イ長調(チョン・ミョンフン指揮)いずれも演奏は東京フィル。

解説で登場する映画5編を改めて見直してみる。「ゴジラ」は大戸島の尾根からにゅっと顔を出す最初の登場シーンが昔は凄く怖かったが、改めて見ても良く出来ている名品。「道」はサーカス風の音楽と哀愁漂うテーマのコントラストが秀逸。綱渡り芸人はリチャート・ベースハート(シービュー号のネルソン提督!)。「ニューシネマパラダイス」は…何と言ってもトト役の子役(サルヴァトーレ・カシオ)の可愛さが成功の要因。トトとアルフレッドのテーマが耳に残る。
「2001年宇宙の旅」で使われた「青きドナウ」は…宇宙船がくるくる回りながら無重力の宇宙空間を飛翔する様を「ワルツ」に見立てたのだろうが、エンドロールでも延々と流れメインテーマ扱いになってることに改めて気付く。ドナウの流れは「悠久の時の流れ」に通ずる…ということか。
アダージェットが全編を覆う「ベニスに死す」は、今見ると、少年愛や耽美的頽廃さ云々より、コレラの流行を観光客に隠して徐々に感染が広がってゆくベニスが現在の新型コロナに重なってリアルに怖い。
どの作品にも「生」より「死」の香りを強く感じるのは、歳を取ったせいだろうか。〆の「ベト7」だけが生命の火花のほとばしりを感じさせ…思わず我に返る。

2020年7月24日 (金)

幻の夏

Olympic1964NHKFM「ブラボーオーケストラ」のスタジオ収録、4ヶ月ぶりに再開。ただし、この4ヶ月オーケストラのコンサート自体がなかったので、8月から9月放送分はテーマごとに過去の演奏から選曲し新たに解説を加えた特別編。

8月2日(日)放送の第1回は「はじめの一歩」というテーマで、現代音楽のはじめの一歩であり、日本の作曲家たちの音楽人生にとってもはじめの一歩となったドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」(エッティンガー)とストラヴィンスキー「春の祭典」(バッティストーニ指揮東京フィル)を。

8月16日(日)放送の第2回は(この夏に開かれるはずだった幻の東京オリンピックに思いを馳せて)「スポーツの祭典」というテーマで、古関祐而「オリンピックマーチ」、「ウィリアムテル序曲」「軽騎兵序曲」(指揮:広上淳一、バッティストーニ、外山雄三ほか)などなどスポーツにちなんだ音楽を。

本来なら今日(7/24)から東京でオリンピックが開かれていた筈だが、幻になってしまった。改めて1964年のあの東京オリンピックを思い出すと、懐かしさと不思議さで夢のような気がする。そう言えば、今回放送を収録したNHKの放送センターも、当時オリンピック用の国際放送センターとして建てられたものだし、首都高速道路も新幹線もあの頃どたばたと急遽作られたもの。その魔法のような突貫工事ぶりをぽかんと見ていた私は当時小学校6年生だった。今小学生の子供たちはこの幻の夏のオリンピックをどう記憶するのだろう。

2020年7月18日 (土)

地の群れ

ChinomureAmazonのPrimeVideoでひさしぶりに物凄く懐かしい映画を見た。熊井啓監督の「地の群れ」(1970年)。高校生の頃、新聞広告の《音楽:松村禎三》という小さなクレジットを見て(内容も知らずに)映画館に行ったのだが、なんと50年ぶりの再会である。

井上光晴の小説が原作で、戦後の長崎/佐世保が舞台。当時はなんの予備知識もなく見たので、ヒロインの紀比呂子の文字通り「掃き溜めに鶴」的な美しさ以外ほとんど印象に残っていなかったが、原爆の記憶を背景に、炭坑・被爆者・被差別部落・朝鮮人・教会・共産主義者・米軍基地などなどが入り交じる街で起こる錯綜した差別・憎悪・貧乏・強姦・自殺・殺人。今改めて見ると、ネズミの群れが火で焼き殺される原爆を象徴するようなシーンや、老婆が石礫で殺されるシーンなど、結構衝撃的だ。1970年当時もATG系超低予算作品として非商業的に上映されたこの題材、現代では色々な意味で上映は不可能だろうし、どう評していいのか皆目分からない。(ただ、当時は救いようのない暗い題材と思えたが、今見ると意外と女性が強く存在感をもって描かれていることに気付く。男たちはひたすら情けないのだけれど)

ちなみに松村禎三師の音楽(毎日映画コンクール音楽賞受賞)は、背景で地味に鳴っているだけで前面に出て来ることは殆どない。この頃は〈交響曲〉(1965)や〈管弦楽のための前奏曲〉(1968)のように大地の底辺にうごめく生命の群れのような音楽を発表していて、「地の群れ」というまさにぴったりのタイトルを見てそういう響きを期待したのだが、そもそも音楽が聞こえてくるような情景は(唯一「子守唄」のような歌が聞こえる以外は)皆無。原爆を象徴するシーンなどでは不協和音が盛大に鳴り渡っても良さそうに思えるが、響きはどこまでも淡々としている(編成としては打楽器と弦楽数名くらいだろうか)。マリンバの枯れたぽつぽついう音と高音できーんと耳鳴りのように響く弦の音だけが耳に残る不思議な音楽だ。

2020年7月13日 (月)

現実からの逃避行

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旅行にも行けず、散歩もままならず、コンサートや映画館や美術館にも行きづらくなり、居酒屋に入り浸ることも出来ず…家の内にも外にも心安まる場所が皆無になってしまった今の東京で、私にとって唯一の避難場所が都内のホテルだ。とは言え、避難はせいぜい月に数回、しかも泊まるのではなく昼間の数時間くらいだけ部屋を借りるデイユースである。

以前も、お客の少ない時期にスタンダードルームを3-4時間だけ貸す…という限定的かつ消極的なプランはあったが、最近はテレワーク用として多くのホテルが昼間の9時5時あたりの時間帯で部屋を貸すデイユースプランを積極的に導入するようになった。前から会員になっている「一休.com」というホテル予約サイトで、割引や特典の付いているデイユースプランを探すと、ビジネスホテルのシングルからちょっと高級なホテルのスイートまで(値段もピンからキリまで)「サテ今度はどこにしようか」と選べるほどになった。

WiFiや冷暖房が完備されていて感染対策も万全。都内なので家から車でも数分から十数分。タクシーを呼んで家からホテルに直接行って、4-6時間ほど滞在してまたタクシーで帰って来れば、人との接触はほぼゼロ。お昼はラウンジ(かコンビニ)でサンドイッチと珈琲。あとはiPadで本を読んでいるか、ふかふかのベッドで寝ている。バスルームがきれいな部屋に当たった時は、温泉に行ったつもりで数回湯に浸かる。

気分転換が第一目的なので、同じホテルに繰り返し行くことはあまりなく毎回違った場所を探す。最近はビジネスホテルのシングルでも結構大きな(と言うより巨大な)テレビが部屋にあるが、現実を忘れたい?のであまり見ない。窓から隣のビルの壁しか見えない部屋もあるが、たまに東京が広く見渡せる部屋に当たることもある。何かあっても家まで30分以内に帰れる距離ということもあり(現実を束の間忘れつつも現実と至近距離にある…という点で)今の私にとって心安まる唯一の隠れ家である。

(もっとも、こういうことをする人がさほど居るとも思えないし、お薦めする気もない。いろいろな逃れられない現実を抱え込んだとき、こういう束の間の逃げ方もあるのだという参考になればと一筆…)

2020年7月 4日 (土)

アートにエールを

20200704-124922舘野泉さんによる「アートにエールを!/東京プロジェクト」の動画〈日本、フィンランド、世界中のあなたと共に〉公開される。

コメントに続いてのピアノ演奏は、拙作「アイノラ抒情曲集」からロマンス/モーツァルティーノ/バラード。「タピオラ幻景」から水のパヴァーヌ。スクリャービン:前奏曲と夜想曲。そして、カッチーニのアヴェマリア。

ジャパンアーツNEWS:https://www.japanarts.co.jp/news/p5175/
東京都「アートにエールを!」: https://cheerforart.jp/detail/476

2020年7月 1日 (水)

東京は燃えているか?

Tokyonightf

ひさしぶりに高いホテルの50何階から夕方の空を見る。

夕焼けなのか遠くの空が一瞬真っ赤になる。こういう風景を見るとゴジラが炎の中を歩いている気がする世代なのだが、自然が作る「東京アラート」なのかも知れない。相変わらずコロナ禍は続き、「そんなこともあったね」と笑って話せる日が果たしていつ来るのか、誰にもさっぱり分からない。

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