田部京子ピアノリサイタル
毎年年末恒例の田部京子ピアノリサイタル(浜離宮朝日ホール)を聴きに行く。
ベートーヴェン生誕250周年の誕生日(12/16)の夜、最後の3つのピアノソナタを聴く…という降霊術のような趣向。シューベルトのアダージョを序章にして前半がソナタ30番と31番、後半にメインとなる大作32番を配して祈るような高音のトリルで締めくくった後、アンコールでさらに天国へ浮遊するようなシューベルトのアヴェマリアで終わる一夜。
晩年の孤独な巨匠が夢見た「全ての人が抱き合いキスし合い神々の優しき翼に包まれる」という夢はコロナ禍のロックダウンの前に消え果て、最後のピアノソナタや弦楽四重奏曲の描く孤独な世界がリアルになり心に染みるという皮肉なベートーヴェンイヤー。心の底を見つめ直すような深い世界を改めて再発見出来たのはいいが、それをマスクをして息苦しさの中で聴かなければならないとは……
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