邯鄲の夢
ヘンな夢を見た。
普通に大学を卒業して…音楽とは関係のない企業に勤めて…海外を行き来しながら普通に結婚して…娘がひとりいて…そこそこ充実した生活を送ったあと還暦をすぎて引退し、ソファの上でネコを膝に抱きながらふと長い人生を思い返している。そんな夢だ。
で、妻と娘を相手に口を開く。「実は、本当は作曲家になりたかったんだ」
「音楽大学には行かずに、独学で交響曲を5つ6つ書いて、それを海外でCD録音して貰って。そうそう、5番はジャジャジャジャーンって始まるんだ。それからいろんな楽器に協奏曲を書いて、もちろんピアノや邦楽器の曲なんかも書いて、雅楽なんかも書いて。ロックや映画やアニメの音楽も書いて、「タルカス」をオーケストラにして、NHKの大河ドラマの音楽もやって。で、還暦のコンサートにはキース・エマーソンと冨田勲がお祝いに駆けつけてくれるんだ」
「そんな都合のいい、夢みたいなこと、あるわけないじゃないの!」。妻と娘が呆れて笑う。
で、目が覚める。
なるほど。そう言われて見ると、本当に都合のいい、夢みたいな人生だった(笑。