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2021年8月

2021年8月30日 (月)

迷人伝…考

Photo_20210829202601 最近ほとんど音楽を聞かなくなった。

14歳で音楽に目覚めて以来、クラシックだろうが現代音楽だろうがポップスだろうが民族音楽だろうが、とにかく「聴いたことがない音楽」がこの世にあることが我慢できなくて何でもかんでも片っ端から聴きまくって50年。

そんな「音楽への飢餓感」も還暦を過ぎた頃から徐々に希薄になり、最近ではほとんどゼロになった。とは言っても、情熱が消えたというより、今まで暴走していたのがノーマルな状態になったという感じ。「我に返った(夢から醒めた)」と言うのが近いだろうか(笑

中島敦の「名人伝」で、弓の名人が弓を極めすぎて弓を手に取らなくなり、最後は弓が何であるかすら忘れてしまう…という冗談のような深遠なような話が昔から大好きなのだが、最近は自分で書いた交響曲のスコアを見て「これ、何?」と言いそうになるのが怖い(笑。

2021年8月19日 (木)

新宿の鴨

Tokyo210818
新宿の高層ホテルで束の間ひと休み。天気がいいと遠くの山並みまで望めて東京らしからぬ清々しい景色が広がる。

Photo_20210820090201しかし、夜、和食の店に行くもお客はほぼゼロ。一人カウンターで炙り鴨などつついていても、緊急事態宣言下の酒類提供制限でお酒がないので間が持たない。メニューにはノンアルコールビール・ノンアルコールワイン・ノンアルコールハイボール・ノンアルコールカクテルなどが並んでお店の苦労が忍ばれるが、ノンアルコール日本酒はない。銘柄としては月桂冠と零の雫という2種類が存在するそうなのだがメニューにはなく、お店の人は「お米のとぎ汁でもお出ししますか?」と苦笑い。

ありがたいことに来年のコンサートの話などもぼちぼち聞こえてくるのだが、来年「通常モード」に戻っている保証は全くなく、まさに「鬼が笑う」感じがぬぐえない。なにしろ、生まれたときからコロナ禍の子が早2歳になっていて、彼らにとってこの世界はマスクなしでは肺が腐る「腐海」の感覚なのだとか。もしかしたら一生マスクが普通の人生になるのかも知れない…などとは思いたくないが、完全に否定できないのが怖い。

私のような老世代にとっても「人生の最後がこれか」とため息をつくしかない災難だが、「死ぬまでにもう一度、マスクなしで外を歩き(酒を飲み)人と自由に話し音楽を聞き旅をしてみたい」という思いは切実だ。しかし、皿の上の鴨に「明けない夜はない(かも)?」と語りかけても、お酒なしのしらふでは返事もない(笑。

2021年8月 9日 (月)

フェスタサマーミューザ KAWASAKI

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フェスタサマーミューザKAWASAKI2021@最終日での交響曲第2番〈地球にて〉の演奏に立ち会う。演奏は、原田慶太楼指揮東京交響楽団。

交響曲を書いて、生きている間に演奏され、CD録音もされ、さらに歳を重ねて若い世代の演奏家達によって演奏されるのを聴くことが出来る…というのは作曲家にとって究極の夢。多くの先達たちが夢を果たせず無念の念を抱いたまま亡くなった死屍累々の世界であり、私も正直言って1㍉も期待どころか空想すらしていなかったのだが…夢はごくごくたまに神の気まぐれで叶えられる・こともあるらしい(笑。

ちょうど30年前(1991年)の作品になるが…当時の世界は、ソヴィエト連邦が解体し東西ベルリンを隔てる壁が消滅し湾岸戦争が始まりアパルトヘイトの撤廃が叫ばれ日本は昭和から平成の世になった頃。現代音楽が調性を取り戻し始め、コンピュータやネットが世界を変え始める前夜である。古い秩序が崩壊し新しい世界に変貌を遂げるために多くの人たちが命を落としたが、その鎮魂の歌は哀しみ嘆くだけではなく、新しい世界を称える頌歌でありたい。…そう願った夢を30年ぶりに思い出した。

若きマエストロと東京交響楽団が紡ぎ出す熱気溢れる熱い音楽と4つの鎮魂の夢。そして聴衆からの温かい拍手の嵐。ひたすら天に感謝。そして、地にも人にも…。
Kawasaki21a

2021年8月 5日 (木)

リハーサル

Img_21138月9日(月休)にフェスタサマーミューザKAWASAKI最終日で演奏される交響曲第2番〈地球にて〉のリハーサル初日に立ち会う。

この曲を書いたのは37/8歳頃(30年前)。現代音楽界の新作なのに番号付きの交響曲で楽章があって最後がジャーンと協和音で終わるというのは異例中の異例で、聴衆は喜んでくれたものの専門家筋からは「気でも違ったのか?」と総スカンだった(笑。そのおかげで現代音楽界を見限り(見限られ)離反した思い出の曲でもある。

その頃感じた「人間も音楽のように、大気から生まれ大気に消えてしまう存在だったらいいのに」という思いは今も同じだが、地球上の東西南北4つの文明の素材を集めて鎮魂曲に仕立てるという趣向は、確かに今回のオリンピックに相応しい気もしてくる。死をひたすら悲しむ鎮魂もあれば、涙を振り切って明るく未来を見据える鎮魂もある。死への思いは生への思いを投影する。

それにしても、自分の書いた曲ながら若い頃の熱い(というよりゴチャゴチャと書き込む)筆致にはひたすら圧倒される。こういう…フルサイズの交響曲は・演奏するのも・書くのも・創るのも・やはり体力(生命力)あってのものだな、としみじみ痛感する。

写真は、指揮者:原田慶太楼氏(左)・東京交響楽団コンサートマスター:水谷晃氏(右)と。・・・若い(笑

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