迷人伝…考
14歳で音楽に目覚めて以来、クラシックだろうが現代音楽だろうがポップスだろうが民族音楽だろうが、とにかく「聴いたことがない音楽」がこの世にあることが我慢できなくて何でもかんでも片っ端から聴きまくって50年。
そんな「音楽への飢餓感」も還暦を過ぎた頃から徐々に希薄になり、最近ではほとんどゼロになった。とは言っても、情熱が消えたというより、今まで暴走していたのがノーマルな状態になったという感じ。「我に返った(夢から醒めた)」と言うのが近いだろうか(笑
中島敦の「名人伝」で、弓の名人が弓を極めすぎて弓を手に取らなくなり、最後は弓が何であるかすら忘れてしまう…という冗談のような深遠なような話が昔から大好きなのだが、最近は自分で書いた交響曲のスコアを見て「これ、何?」と言いそうになるのが怖い(笑。