チェロ協奏曲〈ケンタウルス・ユニット〉
チェロ協奏曲〈ケンタウルス・ユニット〉久しぶりの再演に立ち会う。チェロ:宮田大、藤岡幸夫指揮東京シティフィル@東京オペラシティ。
2003年…というからもう20年近く前の作品になるが、イギリスCHANDOSと作品集の録音をしているとき、BBCフィルのチェロのトップに居たピート(Peter Dixon氏)のために書いた曲。タイトルはチェロを弾く演奏者を半人半馬のケンタウルスに見立てた洒落。
サムライっぽい曲…という怪しげなリクエストの下、居合抜きの抜刀・流鏑馬の作法・歌舞伎の見得とかに始まって、平家琵琶や太棹三味線、エルガーやドヴォルザークのチェロ協奏曲、ブリティッシュロック・プログレッシヴロックに変拍子ジャズ・おもちゃ箱風ワルツ・民族音楽風パッセージ・前衛音楽風カオス、007風アクション映画から大河ドラマ・SF風アニメ風ファンタジーなどなど何もかもを「やりたい放題」に詰め込んだ錯乱の一品。
ちょっとでも照れたり「恥ずかしい」と思った瞬間すべてが瓦解してしまう世界を、宮田大氏のチェロは見事な集中力で一本にまとめてくれた。私自身、はっきり言って評価に困る「自由奔放すぎる末っ子」的な作品だが、少なくとも隅から隅まで楽しかったので、勘当するのはやめておこう(笑
後半演奏されたヴォーン=ウィリアムス「田園交響曲」は、昔から個人的に大好きな作品ながら生で聴くのは初めてで感激。暗い光を発する本当に不思議で美しい世界が広がる。
9月には、同じく宮田大氏と原田慶太楼指揮東京交響楽団での再演もあるので、こちらも楽しみ。
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