1991年の亡霊
30年以上前(1991年)に書いた作品を再版することになり、確認と修正のため久しぶりにスコアを開き「過去の亡霊(?)」と向き合うことになった。
楽譜はもちろん全編アナログの手書き。当時は(当然ながら)メールも携帯電話もなく、曲の依頼や打合せは全て「黒電話」。スコアは(巨大なので簡単にコピーや郵送が出来ず)直接写譜屋さんやオーケストラに出向いて行き手渡ししていた記憶が蘇る。(今はPDFにしてメール添付で一瞬だ)
当時は「バブル景気」の時代だったそうだが、個人的には人生で一番貧乏な時期で実感は微塵もない。それでも90年91年と交響曲を書いて演奏されているのだから、一応はおこぼれにあずかったと言うことなのかも知れない。
ただし現代音楽全盛の時代は続いていて、この時書いたジャーンと協和音で終わる交響曲は先輩作曲家たちから「気でも違ったのか!」と大顰蹙を買い(と同時に完全無視され)、以後ほぼ村八分になった。
映画やテレビやラジオでは(BGMとして)現代音楽サウンドが聞こえてくることも少なくなかったが、時代の空気に合っていてそれはそれで結構好きだった。一方でゲーム音楽はまだピコピコ音の域を出ていない黎明期。それが30年経って一大音楽シーンを形成することになるとは…誰が想像しただろう。
サテ、30年後はどんな「驚きの」時代になるのかしらん。(イヤ、もちろん私はもう生きていないだろうけれど)
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