京都とヘビメタとドヴォルザーク
拙作〈アメリカ Remix〉エレキギター版の初披露を聴きに京都へ出向く。
ジャズピアノの国府弘子さんがガーシュウィンやチックコリアを、メタルバンドのヴァイオリニストJillさんがカルメン幻想曲を、そしてロックギタリストのマーティ・フリードマン氏が〈アメリカ〉をそれぞれオーケストラと共演する異種格闘技的なコンサート。演奏は、出口大地氏指揮京都市交響楽団。
〈アメリカ〉は元々はドヴォルザークが「新世界交響曲」に続いてアメリカで書き上げた弦楽四重奏曲だが、室内楽コンサートで演奏されるだけでは勿体ない!とピアノとオーケストラのためにアレンジ(Remix)し、2010年3月に〈タルカス〉と同じコンサートで初披露した曰く付きの作品。
個人的には物凄く好きな作品なのだが、〈タルカス〉の影でさほど話題にもならず再演にも恵まれずだったのだが、今回突然京都市交響楽団から「エレキギターで弾いても良いですか?」という問い合わせ。しかもギターはマーティ・フリードマン氏だというので快諾。
氏はそもそも「タルカス」が「題名のない音楽会」で紹介された時(2011年2月)にゲストとして一緒に舞台に上がったギタリスト(その時はラフマニノフのピアノ協奏曲をエレキギターで弾いていた!)。ヘビーメタルバンドのギタリストとして世界的な有名人なのだが、日本好きが高じて現在は日本在住。「タルカス」繋がり?の不思議な縁である。
今回は、私がピアノとオーケストラのために書いたスコアを元に、ピアノのパートをギターで自由にアレンジしながら弾くという試み。
実を言うとどんな響きになるのか、私自身想像が付かなかったのだが、ドヴォルザークの旋律がこんなにヘビーメタル風エレキギターのサウンドに合うとは!と驚きの連続だった。特に第2楽章などはギターの「泣き節」があまりにはまっていて終始鳥肌が立ちっぱなしだった。
オーケストラは古典的な二管編成なので、キイボードとドラムスでも入れたら?という提案もしていたのだが、少しPAを加えたぐらいでフィナーレではロックコンサートに負けない熱狂も。恐るべしドヴォルザーク。
終演後、夜の京都の空には中秋の名月。
観月祭では雅楽が流れ、月を愛でる。
不思議なところだ。京都というのは。
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