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タワーレコード「イントキシケイト」誌の取材を受ける。聴き手は小室敬幸さん。
それにしても私が最初の交響曲を書いた三十代半ば頃、まさか自分が作曲家として70歳近くまで生き延びるなんて1㍉も想像していなかった。いや、そもそもクラシック音楽とかオーケストラとか交響曲が21世紀にもなってまだ生き残って居るなんて、これはもう100%絶対あり合えないと思っていた。
しかし、現実は全て大はずれだ。なので私には(過去を愚痴るのは許して貰うとして)未来を語る資格はない。
人生にしろ世界にしろ音楽にしろ、未来は全く以て何も誰にも分からない。
だから若者たちよ。楽観するのも悲観するのも無駄だ。
とにかく生きたいように生きたまえ。
・ブラームス:4つの小品op.119
・ベートーヴェン:ピアノソナタ第32番op.111
・シューベルト:ピアノソナタ第21番変ロ長調
…という三人の作曲家の最後のピアノ曲を並べた選曲。
シューベルト最後の第21番は、前半の長大な2つの楽章の滔々と流れ広がる深淵がすべてだと昔は思っていた。
後半の2つの楽章は、急に「ところで」と全然違うユーモア混じりの話が始まったような(どこか取って付けたような)不自然さを感じていた。
…のだが、20年ほど前にこの曲のピアノ協奏曲版を書いてからは、短いながら不思議なユーモアがよぎる後半2つの楽章が好きになってきた。
暗い世界の底を彷徨う日々が続き何の解決の糸口が無くとも、まずは「ところで」と呟いて微笑んでみる。そうすれば何はともあれ「明日は来る」。
そもそも「音楽」という存在そのものが、そういうものなのかも知れない。