マーマレード回路
「マーマレード回路」が収録されたCD「音の始原を求めて-10」大石満 鈴木浩一の仕事@NEW WAVE(*)届く。
40年前(1984年!)NHKの電子音楽スタジオで計8名ほどの制作スタッフと一緒に丸一年間の超アナログ作業で作り上げながらあまり気に入った出来ではなく作品番号も付けず作品リストにも載せていなかった全5パート16分ほどのテープ音楽…なのだが、今回、当時制作された作曲家諸氏(近藤譲・助川敏弥・坪能克裕)の作品と一緒に掘り起こされ復活CD化されることになった。
タイトルの「マーマレイド回路」というのは「オレンジ(生音)を入力すると、マーマレイド(加工された音響)が出力される」という架空の音響回路。要するに電子音楽スタジオを、そういうSF(少し不思議)な音を作る「回路」に見立てた作品で、元々はシュトックハウゼンの名作「少年の歌」(1956)に対して「少女の歌」というパロディ的なアイデアから生まれたもの。音の素材は女の子の声と鈴とピアノで、最初は「人工子宮管の中の娘によせる発声法のエチュード」あるいは「電動式アリス」と呼んでいた。
制作当時は既にデジタル黎明期(CD登場が1982年)だったが、基本はすべてが指先頼りのアナログ作業。ずらっと並ぶテレコ(当時はすべてオープンリールのテープレコーダー。10台ほどあったろうか)で「ぴ」「ぽ」「ぱ」「ぷるん」などという子供の声を録音したテープを切り貼りしてループにし「あぶくの対位法」を試みたり(今だったらヴォーカロイドのアプリで簡単に作れそうだが、当時は半年かかった)、テープ音楽なのに音の並びは自然倍音やモード(旋法)にこだわったり、あぶくだけで「ケチャ」を踊らせたり…とかなりヘンなノリ(「実験」と言うより完全に「遊び」)で作っていた記憶がある。
ちなみに、80年代当時のロリコン・オタク文化と微妙にリンクしている(ような気がする(笑。
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