LEO箏リサイタル
浜離宮朝日ホールにLEO箏リサイタルを聴きに行く。
彼は吉村七重サンから「弟子のひとりにヘンな子が居る」と昔から話に聞いていた人。邦楽の人は絶対的に持っていない若い世代特有のビート感(西洋的リズム感)とMaj7を美しく奏でられる音感(ピアノ的モード感)を持っている。
ただし、これは邦楽からすると本来NGな要素で、「音が平均律で音楽がすべて4拍子になってしまう」というのはもっとも邦楽らしくなく忌み嫌われる点。伝統的な家元に弟子入りでもしようものなら徹底的に叩き直され修正されただろうが、沢井一恵さんや吉村七重さんの元で(いいんじゃない、それはそれで…とでも言われたのだろうか)最大の弱点を最大の長所としてすくすくと育ったようだ。
結果、私や坂本龍一氏の影響を隠さないモード感の音楽から、若い世代の作曲家との共同作業で生み出すミニマルミュージックやエレクトリックなビートの音楽、そして遊び心に満ちた現代音楽風サウンドまで、「箏」という楽器に時代を生き抜く(そして生き延びる)強力な翼を付加させた功績は大きい。
今は「こんなことも出来る」という豊かな可能性を披露する段階だが、やがて生涯にわたって共同制作が出来る強力なバディ(相棒)を得たとき、大きな作品が開花する予感がする。