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2023年9月

2023年9月27日 (水)

交響曲第5番の夜

Scoreno5_20230928091701 読響プレミアの公開収録(東京オペラシティ)で交響曲第5番の演奏に立ち会う。演奏は原田慶太楼指揮読売日本交響楽団。

私が14歳の時に作曲家を志したのは、父親が持ってきた「運命」のスコア→がきっかけだ。そのせいで「ジャジャジャジャーンで始まりハ長調のトニカで終わる交響曲」を書く…というのが終生の夢になった。

2001年にその夢を叶えた時、父親は癌の闘病中。初演は車椅子で聴きに来てくれたが体力が落ちていたので、「やかましい曲だな」と言っただけだった。そのあとイギリスで録音し、「父親に捧ぐ」と解説に書いた…と言うと「いいのか?そんなこと書いて」と戸惑いながら喜んでくれたが、翌年CDを聞くことは叶わないまま亡くなってしまった。

父の葬儀のあと書斎に有るゲーテのデスマスク(曾祖父がドイツ留学した時に手に入れたものらしい)を見ていたら、ゲーテがベートーヴェンの第5を聞いたとき「やかましい曲だな。天井が落ちてきそうだ」と言ったという話を思い出した。音楽を巡って色々なものが収束してゆく不思議な縁を感じ続けている。

Img_6421ちなみに、この曲は「運命」と同時に「ファウスト」仕立てでもあり、突然現れて人生を変えてしまう悪魔(メフィストフェレス)と喪失した物(グレーチェン)がテーマ。

父親が持ってきた運命のスコアが最初の「悪魔」だが、その後突然現れて私のオーケストラ全曲を演奏し録音し始めたフジオカ氏が次の「悪魔」。そして今、第三の悪魔ハラダ氏が「交響曲を全部演奏する」と言い出してコンプリートしつつある。

人生いろいろ。「運命」もいろいろ。Verweile doch, du bist so schön!

余談ながら、1994年にサイバーバード協奏曲を初演して貰ったのもこの番組(当時は「読響オーケストラハウス)。あれから30年ほど経つ。

2023年9月26日 (火)

リハーサル@第5番

230927c 交響曲第5番のリハーサル立ち会いに読売日本交響楽団の練習場に出向く。

マエストロ原田の《一人で勝手にヨシマツ交響曲チクルス》の第5弾。

本番は明日9月27日(火)19時より東京オペラシティ。演奏は原田慶太楼指揮読売日本交響楽団@「読響プレミア」の公開収録(放送日未定)

2023年9月11日 (月)

西村朗氏のこと

2 盟友:西村朗が逝った。 

1984年(31歳)頃、同い年・似た体型・オーケストラ好き・名前が三文字…という落語の三題噺のようなつながりで出会った生涯の友人である。

大阪出身の彼は「浪速商人」型、東京出身の私は「江戸職人」型、と明らかに性格もタイプも違うのだが、「世紀末音楽研究所」というナゾの組織を作って酒を飲みに行ったり旅行に行ったり音楽論を戦わせたり。作曲家仲間と言うより「悪友」という感じだった。

もともと彼は、私と出会う10年も前から各種作曲コンクールを総なめにして「天才」の名をほしいままにしていたが、その後も音楽賞や芸術賞や音楽監督や審査員や教授などなど役職や冠の類いを馬に食べさせるほど貰いまくり、さらに多種多彩な曲を(泳ぐのを止めると沈んでしまうサメか何かのように)書きまくり現代音楽界の重鎮にのし上がっていった。

一方、私はというとコンクールに落ちまくりの出遅れ組からようやく這い上がってデビューを果たしながら肝心の現代音楽に反旗を翻して戦線を離脱。そのあとは賞なし役職なし経歴なしのヒラの作曲家のままで、彼とは身分の差を極限まで広げてしまったのだが、出会うと一瞬にして若い頃の「悪友」の間柄に戻ってしまうのが面白い。

50歳になった時の対談で「お互い50になったね(よく生き残ったね~)」と健闘を称え合った後、彼が「これで人生ちょうど半分来たってことかな」と言うので「おいおい、百歳まで生きるつもりか?」と驚いたのが昨日のことのようである。

とは言え、ここまで好き勝手なことをやって、お互いこの歳まで生き残ったのだから、キミの死を早いとも惜しいとも悲しいとも思わない。そのうち私もそっちに行くからその時また一緒に酒でも飲もう。

2023年9月10日 (日)

音楽とは何か

Photo_20230911070901 先日(8日)、富山の桐朋学園大学で「音楽とは何か」という特別講義を企画して貰ったのだが、突然の体調不良で中止(延期)することになってしまった。

実は、音楽大学で講義をするなどと言うのは50年近く作曲家をやってきて初めて。まさに一期一会の機会だったのだが…、身分不相応のことをやろうとして天の怒りを買ったのか、音楽の神が「真相の暴露」を嫌ったのか。

 

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