別冊カドカワ〈総力特集プログレッシヴロック〉にインタビュー記事掲載。
プログレッシヴロックが日本人に愛される理由・・・という視点でタルカスや雅楽や平清盛の音楽について語る。(永野護、荒井英治、錦織健、宮川彬良氏らのインタビュー記事のほか、「なぜ日本人はプログレが好きなのか?」の座談会などもあり)
現在、日本は(オケ版タルカスのせいも少しあるのか)プログレのリバイバルで湧いている(らしい)。でも、2年前、私がオーケストラ版タルカスを発表するコンサート(2010年3月)を企画した時は、初動でチケットが100枚!しか売れず、3年で3回やるシリーズの処が2回以降は消し飛んでしまったほど。プログレ熱など微塵もなかった。
クラシック音楽界はもちろん反応ゼロ&完全無視だったし、身近な関係者も「タスカスって何?」「それをオーケストラでやるのにどういう意味があるんですか?」というレベルで理解者は皆無。本当は3回シリーズの最後の回に大トリでやるつもりだったのだが(その時は…ピンクフロイドの「原子心母」、イエスの「シベリアン・カートゥル」、アンコールに「ナット・ロッカー」!というプログラムを考えていた)、今やらなかったら機会は永遠に無いかも知れない…という危機感と虫の知らせで、相当な無理をして「タルカス」だけを初回に突っ込んだ。
結果、初演は口コミで隠れプログレファンが全国から集まってくれ、キース・エマーソンのメッセージが届いたりCD化されたり(あちこちから「実は私もプログレのファンなんです」とカミングアウトしてくる人たちに出会ったりして)大成功に終わり、現在に繋がるわけなのだが・・・本当に精根尽き果てたという感じだった。
あの時、無理して強行しなかったら、おそらくオケ版タルカスは永久に幻となり、当然ながら大河ドラマで流れることもなく、プログレのリバイバルもなかったかも知れない…と思うと苦い記憶と共に複雑な感慨が頭をよぎる。
どんな音楽も、天から自然に降ってくるわけではない。みんな(一見遊んでいるだけに見えながら)実は命がけで作っているわけなのだ。涙を笑顔で隠して。なンてね・・・