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  • ブラボー!オーケストラ
    ・NHK-FM 毎週日曜日19:20~20:20放送。毎月第1-2日曜日(+α)東京枠解説担当。
    ・12月10日/24日

2017年12月 2日 (土)

遠くからの3つの歌@長谷川陽子リサイタル

Yhas2017長谷川陽子さんのチェロリサイタル@浜離宮朝日ホールで〈遠くからの3つの歌〉初演(ピアノ:青柳晋さん)。

デビュー30周年記念の委嘱作で「カッチーニのアヴェマリア」「アメイジンググレイス」「ふるさと」の編曲3題。各4分ほどなので、アンコールピース的な仕様。

「遠くから」聞こえてくると言うのは「この世ではない」歌ということでもあり、「アメイジンググレイス」は9.11、「ふるさと」は3.11の記憶でもある。

…のだが、それは決して追悼の歌ではない。陽子さんのチェロはそれら全てを包み込み、ほのかに暖かく世界を照らす「陽」のように歌う。

楽譜はASKS.orchより近日中に供給予定。

2017年7月14日 (金)

西方からの音楽・彼岸からの歌

Big4 FM「ブラボー!オーケストラ」8月分1本の収録にNHK405スタジオへ。

今回は、8月6日(日)放送分で、2017年6月24日@札幌コンサートホールで行われた札響名曲シリーズから、ドヴォルザーク「謝肉祭」、ムソルグスキー「禿げ山の一夜」、ハチャトリアン「ガイーヌ」、ボロディン「ダッタン人の踊り」。札幌交響楽団、指揮:円光寺雅彦。

一見普通に「ポピュラー名曲」を並べたコンサートに見えるが、曲順に辿ると東欧(チェコ)~ロシア~中央アジア~東アジア…と大陸を西から東へ飛翔する壮大な音楽の旅になる仕掛けだ。しかも、いずれの曲も大地に根ざした「生命」を讃える舞曲。私たちのご先祖様もおそらく数万年前、これと同じような道筋を辿って東の果ての島(日本)に辿り着いたのだろうか…と思うと感慨深いものがある。

ちなみに、イーゴリ公東征の年1185年は、壇ノ浦の戦の年。韃靼人があのメロディで踊っていた頃、日本では平家が壇ノ浦で滅びている。そう聞くとちょっと違った万感の思いが胸に押し寄せる。

          *

Tabe170714 夜は、田部京子リサイタル〈シューベルト・プラス第2回〉を聴きに朝日浜離宮ホールへ。ベートーヴェンとシューベルト晩年の2つの名作ソナタを並べ、それをもうひとりの晩年の作曲家(私)が客席で聴くという…深淵を覗き込むような趣向(笑

彼女の音楽はもはやベートーヴェンでもシューベルトでもなく、彼岸から聴こえてくる瑠璃色の真言(マントラ)のように聞こえる。最近、一身上の都合もあって音楽から離れた生活をしているので、久しぶりの生の音楽は一層心に染み入る。

2017年6月16日 (金)

らららクラシック@バルトーク回ゲスト出演

Lalacla_2NHK Eテレ「らららクラシック」@ゲスト出演。バルトーク〈管弦楽のための協奏曲〉特集回。司会:高橋克典、牛田茉友。ゲスト:関口知宏/吉松隆。

バルトークを初めて聴いたのは、高校生の頃だ。通っていたレコード店でかかっていたライナー指揮シカゴ響のLPの〈弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽〉の冒頭を聴いて鳥肌が立ち、即買い込んだ。

〈管弦楽のための協奏曲〉はそのB面。弦チェレのクールさと比べると、ハリウッド映画っぽいサウンドと楽観的で明るい音楽がいまひとつピンと来なかった。その背景を聴いて共感できるようになったのはしばらく後だ。

これが40代の元気な頃書かれた作品だったら、「よく響くスコアだな」くらいの印象で終わっていたかも知れない。しかし、番組で情緒的に再現されていた通り、この曲はバルトークの最晩年、祖国を離れ、戦争にまみれ、病に冒され、仕事もなく、貧窮のどん底という文字通りの絶望の中で書かれた作品だ。

おそらくクーセヴィツキーから委嘱(しかも1000ドルの委嘱料付き)を受けてこの曲を書いている2ヶ月ほどだけは、病気のことも戦争のこともお金の苦労のことも一瞬忘れ、「音の遊び」に興じられたのだろう。その刹那的な「楽観」がこの曲を(現代音楽らしからぬ)明るい響きにしている。しかし、これほど悲しく切ない(そして怖ろしい)「楽観」があるだろうか。(作曲しているバルトークの頭の上には文字通り「(死への)フラグ」が立っていたに違いない)

Bartokc_2それでも、理系オタクの「変拍子」趣味、民族音楽収集マニアの「旋法」指向、(関口氏も指摘していた)ハンガリー風正義感から来る「ロック」な血。それらが、この曲を通じて戦後、ジャズ(モードによるモダンジャズ)やロック(変拍子プログレ)にリンクし、その色彩的でモダンなオーケストラサウンドは戦後ハリウッド映画の音楽などにも影響を与えてゆく。

ただし、音楽が人の心を動かすとき、(彼が嫌ったナチスドイツと同じような)排他的な民族主義や非知性的な興奮(狂気)に加担する危険も同時にはらむわけで、この曲が生まれた時代は、(音楽にとっても)絶望と希望の渦巻く「崖っぷち」だったのは確かだ。

そう思ってこの曲を聴くと、音楽自体はバルトークが最後に見せた(生涯一度も笑うことがなかったカタブツ男による一世一代の)「笑顔」のような曲だが、その笑顔の裏に見える「怖さ」は(弦チェレ以上の)ホラーのような気がしてくる。

再放送:6月22日(木)10:25〜

2017年6月11日 (日)

須川展也サクソフォンリサイタル

170611

サイバーバード協奏曲@ピアノリダクション版を聴きに、須川展也氏リサイタル@銀座ヤマハホールへ。

ひさしぶりの日曜日の昼の銀座。あまりの人の多さにホールに辿り着く前にぐったり。ようやく辿り着いたホールもびっしり満員の盛況で体力気力が追いつかない。いつもガラガラだったかつての現代音楽コンサートが懐かしい…。

などとすっかり老衰中の作曲家を尻目に、演奏家は体力気力充実でフルスロットル。元々は「練習用のピアノ伴奏譜」にすぎなかったピアノリダクション版から、オーケストラに匹敵する多彩で圧倒的な音楽を引き出してくれた。私事ながら、妹の病室で作曲した当時のことを思い出し、1楽章の途中から涙で舞台がよく見えなかったほどだ。

こうして、作品を大事に演奏してくれる演奏家と出会えたことは、作曲家の宝。時が過ぎ、すべてが風の向こうに消えたとしても、共に夢を見た一瞬だけは永遠のものだ。感謝。

2017年2月24日 (金)

三村奈々恵マリンバリサイタル

20170224

銀座のヤマハホールへ三村奈々恵さんのマリンバ・リサイタルを聴きに出向く。

新しいアルバム(マリンバクリスタル)にも収録の拙作〈バードスケイプ〉30年ぶりの復活初演ほか、イヌイットの喉歌との掛け合いによるハティスの作品、チェロ(古川展生) との美しいデュオによるゴリホフの作品、ピアノ(塩入俊哉)とパーカッション(楯直己)を交えた自作のポップ&スピリチュアルな作品など、多彩な響きを堪能する。

マリンバは、元々はアフリカ起源で木片(rimba)を音の高さの順に並べた(ma)民族楽器。20世紀になって中南米で半音階自在の形に改良され、ラテンやキューバ音楽などに欠かせない人気楽器になった。しかし「木片を叩く」という構造上、自然倍音の成分が少なく、和音が和音に響かないのが弱点。…ではあるのだが、その一方、「木」の感触と機動性そして音のエッジの鮮明さは出色で、リズムとスピード感とエスニックな要素を醸し出すのに最高の楽器でもある。そのため個人的にオーケストラの中によく編入楽器として組み込む。「マリンバなくして〈タルカス〉のオケ版はなかった…」と言ってもいいかも知れない。

ただ、三村さんが弾くバッハ(シャコンヌ)、キース・ジャレット(ケルン・コンサート)、エルガー(二ムロッド)などが繰り広げる美しいハーモニーを聴くと、ちょっと考えを改めなければならないかな…とも思う。あるいは、もう少し倍音を加減できるような改良があればもっと面白くなるのかも知れない。

…とぶつぶつ言いながら、ひさしぶりに金曜日の夜の街を歩く。やけに居酒屋などが混んでいるなと思ったら、プレミアム・フライデー(月末の金曜日は午後3時退社を推奨するという政策)なのだそうだ。…私などの世代からすると、日本人は「勤勉」だったからこそ、ここまでやって来られたわけで、その唯一の取り柄を失ってしまったらもうお終いだろう…と思うのだが、まあ、どっちにしろもうお終いなのだから、仕事なんかやめて酒でも飲みなさい…ということなのか。ま、それなら…賛成(笑)

2017年1月21日 (土)

酉年のサイバーバード

170121c拙作〈サイバーバード協奏曲〉の演奏を聴きに東京シティフィル定期@ティアラこうとうへ。

演奏は…須川展也(sax)・小柳美奈子(piano)・山口多嘉子(percussion)という初演以来鉄壁のトリオ+藤岡幸夫指揮東京シティフィル。

開演前に指揮の藤岡幸夫氏とプレトーク。作曲して四半世紀(23年)ほど経つので、著作(作曲)者と曲の同一性云々などの感覚は薄れ、23歳に成長した息子と定年退職した父親ほどの距離感。グレることもなく金を無心に来ることもなく、時々こうして顔を見せてくれてその度に「あぁ、いい息子を持ったナ」という幸福感を与えてくれる親孝行な子である(笑。

藤岡氏は顔を合わせると「早く(交響曲)第7番書いてよ」と言うのだが、だれもが60歳すぎて都知事になったり70歳過ぎてアメリカ大統領になりたがるような元気な老人ばかりではないわけで。…などと言っておいて80歳過ぎて交響曲第12番など書いていたら全力でツッ込んでください(…というようなことを前にも書いたような気がする。

2016年11月19日 (土)

田部京子リサイタル

Tabe1119浜離宮朝日ホールへ〈田部京子リサイタル〉を聴きに行く。

曲目は…
・モーツァルト:ピアノソナタ第11番イ長調
・ブラームス:2つのラプソディ
・シューベルト:ピアノソナタ第18番〈幻想〉

シューベルトの命日(11月19日)にちなんでのリサイタルということもあり、白眉は何と言っても18番のソナタ。冒頭の静寂の中から聞こえてくるかすかな旋律からもう「向こうの世界」に魂が吸い寄せられるような…あまりに透明な水の底を覗き込んだときの美しいと言うよりその深さに気が遠くなるような…ちょっと希有な体験をした。

彼女のシューベルトは、デビュー盤(21番)が既に作曲家晩年の闇と深淵を聴かせていたが、どちらかと言うと明るく端正な印象の18番でその深みを覗き込むことになるとは…。リアルに闇と深淵の只中に居る晩年の作曲家(私)にはちょっと怖い世界ではあるが、微塵も濁りのない澄んだ透明感で紡がれる音楽はどこまでも美しい。

作曲家が闇と深淵を描いても、演奏家がそれを優しく包み込む。「ファウスト」でいう「永遠に女性的なるものに救済される魂」…これは日本人の男である私にはさっぱり分からないロジックではあるのだが…が感性を通して身体に染みこんでくるような気が一瞬した。もしかしたらこれが彼女の会得したドイツロマン派の神髄?なのかも知れない。

2016年11月13日 (日)

ブラボー!オーケストラ番外編

1113nhka渋谷のNHKホールで、「ブラボー!オーケストラ」番外編およびNHK音楽祭の一環の〈渋谷発!オーケストラ面白研究所〉に出演。

お客はすべてこどもたち(小学生)とお母さん。オーケストラの名曲を聴きながら国語・算数・理科・社会に関わる音楽の話をし、演奏にも参加してもらい、オーケストラに親しんで貰おうというコンサート。

私が「博士」役、中川翔子さんが「助手」役で司会を務め、オーケストラに関する「蘊蓄(へぇ〜な話)」や「クイズ」を交えつつ進行。中川さんは歌でアニメソングのメドレーも披露し、ゲストには高校生ピアニスト:牛田智大さんも登場。演奏は岩村力さん指揮東京フィル。

アニメソング・メドレーは中川翔子さんの番組「アニソン・アカデミー」で後日放送、クラシック曲の部分は新たに構成して「ブラボー!オーケストラ」で放送の予定。

1113nhkb

2016年11月11日 (金)

冨田勲@Dr.コッペリウス

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この5月に亡くなられた冨田勲さんの遺作「Dr.コッペリウス」の初演を見に渋谷のBunkamuraオーチャードホールへ。

第1部
・イーハトーヴ交響曲
・惑星 Live Dub Mix
第2部
・ドクター・コッペリウス
@渡邊一正指揮東京フィル+初音ミク

期待の「Dr.コッペリウス」 は全7章で構成されたバレエ組曲。冨田さんの死によって前半の1・2章が存在しないそうで、確かに未完の印象は否めないが、最終章で「イトカワとハヤブサ」が聞こえてくるあたりからコーダまでの密度が濃く、充実した感動を与えてくれる。初演半年前に作曲家が亡くなってしまったら公演は大混乱になりそうなものだが、最後の部分の構想がしっかり出来ていたのでGOサインが出しやすかったのだろう。

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第1部で再演された「イーハトーヴ交響曲」はダンディの「フランス山人の交響曲」が中心素材になっていたが、今回の「コッペリウス」ではドリーブの「コッペリア」のほかヴィラロボスやワーグナーなど複数の曲が素材。シンセサイザーでのReMixをオーケストラに持ち込んだ不思議な作風で、クラシック通には賛否が分かれそうだが、むかしむかしは耳馴染みの曲を精妙に構成するのが「大作曲家」で、オリジナルの旋律を使う人より格が上だったそうだから(今でも「演奏家」はそうしてリサイタルを開いている)充分アリだろう。

バレエ自体は象徴的な物語で、筋書きが分かりやすいとは言えないが、初音ミク嬢の歌う「コッペリア」の耳馴染みのワルツや「トリスタンとイゾルデの愛の死」など聞き所は多く飽きさせない。主人公の「博士」とミク演じる「コッペリア」は、「羽衣伝説」の男と天女であり、糸川博士と宇宙生命であり、それと同時に冨田さん自身とシンセサイザーの精霊なのかも知れない。

それにしても公演が終わって満員の観客の拍手を聞いていると、会場に冨田さんがいないことに改めて寂しさがこみ上げてくる。僕たちは今みんなトミタ・ロスですよ。冨田さん。

2016年11月10日 (木)

舘野泉@傘寿記念コンサート

Tateno80

舘野泉さんの傘寿(80歳)記念コンサートを聴きに東京オペラシティへ。

・池辺晋一郎:西風によせて
・ヒンデミット:左手のためのピアノ協奏曲
・シュタール:ファンタジー
・ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲
@高関健指揮東京シティフィル

80歳の誕生日に一晩で4つの左手のピアノ協奏曲(しかも難曲ばかり)を弾いてしまう…という驚くべきコンサート。還暦(60歳)を越えてほとんど隠居気分な私から見ると、この想像を絶する壮挙は畏怖を通り越して恐怖である。つい昨日も70歳でアメリカ大統領になろうという「怖ろしいヒト」に愕然としたばかりだが、どうして世の中こんなに老いて元気なヒトが居るのだろう。務めを果たした後は枯れて老いてゆく(そして消えてゆく)人生でいいじゃないか…と私などは思うのだが。(などと言っておいてもし万が一80歳すぎてぬけぬけと交響曲第12番など書いていたら全力でツッ込んでくださいませ)

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