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    ・NHK-FM 毎週日曜日19:20~20:20放送。毎月第1-2日曜日(+α)東京枠解説担当。
    ・01月06日/13日
    ・02月03日/10日
    ・03月10日/17日/24日
    ・04月07日/14日/21日
    ・05月12日/19日
    ・06月02日/09日/16日
    ・07月07日/14日
    ・08月04日/11日/18日

2019年7月26日 (金)

幻想の妄想

ScoreaFM「ブラボー!オーケストラ」8月分2本の収録にNHK403スタジオへ。

今回は6月29に行われた九州交響楽団の演奏会(音楽監督の小泉和裕さんとの共演100回記念コンサート)を、前半後半と2回に分けて収録。

8月11日(日)は、前半の曲目:スッペ「詩人と農夫」序曲、リスト:ピアノ協奏曲第1番(p:広瀬悦子さん)。および九響のCDから、ムソルグスキー「禿げ山の一夜」とボロディン「中央アジアの草原にて」。

8月18日(日)は、後半の曲目:ベルリオーズ「幻想交響曲」。いずれも九州交響楽団第17回名曲・午後のオーケストラ@アクロス福岡シンフォニーホールより。

最近ベルリオーズ自筆の楽譜の第4楽章(断頭台への行進)表紙↑を見て、かなりアブナイ人がアブナイ状態で書いたことを再確認(笑。
この曲の成功のあと、一応作曲家として名を成し、別の女性となんとか婚約したそうなのだが、こんなアブナイ人と結婚しちゃダメよ、と彼女の母親が別のまともな男性との結婚を取りまとめて一方的に破談。それを知ったベルリオーズ先生、激高してこの母娘の殺人計画を練り、拳銃を隠し持ったうえ女装!して馬車でパリに向かったというから、もう少しで殺人・死刑・断頭台の話が幻想でなく現実になる処だったらしい。まあ、そのくらいの狂気がなければ、これほどぶっ飛んだ曲は書けない…ということなのだろうが、それにしても、それほどヘンな曲なのに「名曲」という認識で聴いてしまうのはなぜ?

2019年7月12日 (金)

パルナッソスとベルクハウス

ParnasusFM「ブラボー!オーケストラ」8月分2本の収録にNHK502スタジオへ。

8月4日(日)放送分は、ベートーヴェンの若き日のバレエ音楽「プロメテウスの創造物」の(ほぼ)全曲版。高関健指揮東京シティフィル(2019年1月26日第55回ティアラこうとう定期から)

9月1日(日)放送分は、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」(p:鈴木隆太郎)指揮:大友直人(2019年5月18日第68回響の森クラシックシリーズから)と、リスト「ハンガリー狂詩曲第2番」指揮:小林研一郎(2018年11月4日第78回休日の午後のコンサートから)。演奏は東京フィル。(こちらは7月21日放送予定が参院選のため延期となったもの)

        *

バレエ「プロメテウスの創造物」はベートーヴェン30歳頃の作曲デビュー作に近い舞台作品。のちに「英雄」交響曲フィナーレの素材にもなる重要な作品だが、どういうバレエだったか細かいことは資料が残っておらず良く分からない。

イタリアの振り付け師ヴィガーノが台本を書き主役を踊ったこの作品、プロメテウス(ギリシャ神話の神様で、人間に「火」を与えたため、ハゲタカにはらわたを引きずり出される罰を受ける)の話がメインではなく、彼が土くれから創った人形(これが彼の創造物)が詩や音楽や芸術を知って「真の人間」になるという物語らしい。全2幕の後半で彼ら(人間)はパルナッソス山のアポロの神殿に連れて行かれ、様々な神さまたち(芸術の神アポロ、美の神ヴィーナス、戦争の神マルス、詩や音楽の神オルフェウス、酒の神ディオニソス/バッカス・牧神パンなどなど)から学問や詩や芸術…そして酒や戦争を教わる。かくして、土くれから生まれた人形は心を持った「人間」となリ、最後は神々と一緒に悦びの踊りを踊る…という構成である。

若きベートーヴェンは、この作品から「芸術を知ることで真の人間になる」というヴィジョンを見出したのだろう。だからこそ「英雄」交響曲でこの作品の素材を使い、芸術を極めて「真の自分(ベートーヴェン)になるぞ」という宣言を行った…ということになるだろうか。

Karlmllerそして、後半で演奏されたリストの「ハンガリー狂詩曲第2番」の管弦楽編曲ミュラー=ベルクハウス版にも注目。この曲のオーケストラ版としては最も有名なスコアだが、今まで編曲のミュラー=ベルクハウスを(何となく)ミュラーさんとベルクハウスさん2人の共作?かと思い込んでいた。

ところが調べてみると、彼はカール・ミュラー=ベルクハウス(Karl Müller-Berghaus。1829-1907)という一人の音楽家。本名はカール・ミュラーで、ベルクハウスというのは結婚した奥さん(エルビラ)の姓。音楽家一家で兄弟全員が音楽家なので、ミュラーだけでは区別が付かないことから複姓としたものらしい。

ドイツ出身だが、ヨーロッパのあちこちでヴァイオリニスト・指揮者・作曲家として活躍(ハンガリー狂詩曲の編曲は、おそらく出版社ジムロックから頼まれてアルバイトで書いたのだろう)。50代からはフィンランド/トゥルクの音楽協会で指揮者を務め、フィンランドの神話「カレワラ」を元にしたオペラ(Die Kalewainen in Pochjola 1890)も書いていると初めて知った。英雄ヴァイナモイネンやポヒョラの娘たち、そして富を生み出す魔法の臼サンポを巡る全4幕の大掛かりなオペラである。

Kalewainen-in-pochjola この作品、上演する機会のないまま、本人がドイツに帰国したのち亡くなってしまい、楽譜も無くなったと考えられていたのだが、最近、町のライブラリに保存してあった楽譜が見つかり、2017年フィンランド独立100周年記念に127年ぶりにトゥルクで初演されている。

シベリウスが「クレルヴォ」(1891)を書く前に書かれたカレワラ神話による本格的なオペラ!。YouTubeで検索すると初演の時の映像を見ることが出来るが、ワーグナーばりのなかなかの力作である。

2019年7月 6日 (土)

新・サイバーバード協奏曲

2019年6月21日 (金)

特別対談@音楽の友

Ontomo音楽の友7月号に舘野泉さんとの対談掲載。

小特集「現代音楽のススメ」に寄せる〈それぞれの立場で語る「現代音楽」、作曲家と奏者の関係〉(聞き手:長井進之介さん)

2019年6月17日 (月)

ロックな古典?

TchaikowaltonFM「ブラボー!オーケストラ」7月分2本の収録にNHK 405スタジオへ。

7月7日(日)放送分は、チャイコフスキー「イタリア奇想曲」(2019年2月3日第79回休日の午後のコンサートから)、同「ヴァイオリン協奏曲」(vn:ユーチン・ツェン 2019年3月13日第918回サントリー定期シリーズから)プレトニョフ指揮東京フィル。

7月14日(日)放送分は、ウォルトンの戴冠式行進曲「王冠」、チャイコフスキー「交響曲第4番ヘ短調」。バッティストーニ指揮東京フィル(2019年4月18日第920回サントリー定期より)

ちょっと珍しいウォルトンの戴冠式行進曲「王冠」は1937年に前の国王ジョージ6世(現在のエリザベス女王のお父上)の戴冠式の時に作曲された曲。日本でもこの5月に新しい天皇が即位して「令和」の時代となり、10月に(戴冠式に当たる)即位礼正殿の儀が行われるので、それにちなんだ一曲。

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と交響曲第4番は…作曲を志した高校生の頃、それこそ舐めるようにスコアを読んだ懐かしい曲。彼の音楽は当初なぜか初演で失敗したり悪口を言われたりすることが多かったようだが、それはどこか「これでもか」というような過剰な(シャウトしたりコブシを付けたりする)表現が人の心を刺激したからなのだろう。BGMとして聞き流したり心地よく眠ってしまうことが出来ない。それを「煩わしい」と思うか「凄い」と思うか…、その点では当時の人々にとって彼の音楽は「ロック」だったわけだ。(とは言え、そのロックもいまやすっかり古典=クラシックになってしまったけれど…)

2019年5月30日 (木)

舘野泉さんと対談インタビュー

Ateno舘野泉さん宅で音楽の友誌の対談インタビューを受ける。

舘野さんとの出会いは、私が高校生の頃。「フィンランドから帰国した若手!ピアニスト」というので興味を持ちリサイタルを聴きに行った時だから、もう軽く50年が経つ。

お会いして話をした最初の機会は、駆け出しの作曲家としてピアノ誌で対談インタビューした時。30年ほど前だろうか。その時も舘野さん宅だった。

その後、シベリウス協会でご一緒するようになり、オウルンサロ音楽祭に招かれ、左手のピアニストになられてからは、頼まれもしない曲も含めて十数曲…ピアノソロ、3手連弾、室内楽、語りもの、アレンジもの、コンチェルト、そして大河ドラマと…ずいぶん曲を書いた。(今年11月のバースデイコンサートでは、草笛光子さんとの共演で「KENJI…宮澤賢治によせる」を再演予定。また上皇后美智子さまとの連弾のための曲も密かに進行中)

大先輩にして戦友?という不思議な長い付き合いだが、終わって写真を撮ってのひとことは…「お互い白髪になっちゃったなぁ(笑)」

2019年5月27日 (月)

暗い童話と死の影と

Mahlerzadonai FM「ブラボー!オーケストラ」6月分2本の収録にNHK502スタジオへ。

6月9日(日)放送分は、イタリア近代の作曲家リッカルド・ザンドナーイ(1883-1944)の珍しい作品、あるおとぎ話の印象「白雪姫」(1939)@バッティストーニ指揮東京フィル(2019年1月23日第914回サントリー定期より)。

そして、6月9日(日)と16日(日)の2回に渡って、マーラー:交響曲第9番ニ長調を放送。9日は前半の第1楽章、16日は、後半の第2-3-4楽章。演奏は、ミョンフン指揮東京フィル(2月15日第916回サントリー定期シリーズより)

童話の世界…というのは、現代では子供向けに人畜無害なものが鉄則だが、そもそもは結構暗くて残酷な復讐譚のようなものが多い。「白雪姫」も…自分より綺麗な白雪姫に嫉妬した王妃は「家来に白雪姫を殺させ、その内臓を食べてしまう」ことを計画。それに失敗すると、今度は自ら絞殺・毒の櫛・毒リンゴと3度にわたって殺害を試みる。その死んだ白雪姫の「死体」を、通りがかった王子が7人のこびとからから買い受けるのだが、家来が足を滑らせた拍子に喉から毒リンゴを吐き出し生き返る。そして二人は結婚。悪役の王妃は「真っ赤に焼けた鉄の靴」を履かせられて死ぬまで踊り続けた・・・と結構怖い展開だ。

マーラーは、そんなグリム童話や「少年の魔法の角笛」などの暗い森の中で繰り広げられる奇妙な物語が大好きだったようで、交響曲第1番の葬送行進曲は「死んだ猟師の死体を担いで運ぶ森の獣たち」というなかなかシュールなイメージ。その延長線上に最後に到達したのが交響曲第9番の世界だと思うと不思議な感慨に襲われる。暗くて悲観的な音楽を書いていた割には、実は結構明るく野心に満ち溢れていたという説もあるが、屈折した性格だったことは確か。自己愛と自虐が交錯し、誇大妄想を大声で喚いたと思ったら、いじいじと小声で暗い悲観的な独白をし、自己陶酔が顕著で、語り口はくどくどと果てしなく長い。しかし、その分裂気味の「寄る辺なさ」が、病んだ現代人にはなんとも魅力的なのだから音楽というのは面白い。

2019年5月21日 (火)

海と霧のむこうに

Rk FM「ブラボー!オーケストラ」6月分1本の収録にNHK501スタジオへ。

今回は6月2日(日)放送分で、リムスキイ=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」。バッティストーニ指揮東京フィル(1月23日第914回サントリー定期より)。および4月の定期でアンコール演奏されたエルガー「威風堂々」の短縮版。

R=コルサコフは、20代は海軍の士官候補生として軍艦に乗って7つの海を駆けめぐった人。シェエラザードの見事な「荒海」の描写はそんな航海の経験から、そして見事な管弦楽の扱いは寄港地の都市で見聞きしたオペラやコンサートの体験から来ているのだそうで、なるほど作曲家を育てるのに海軍に入れるのもアリなのか…と納得。

結局30代を迎える前に海軍を辞め、音楽の道を邁進するのだが、そのまま海軍に居たら「シェエラザード」を書いた40代には軍艦の艦長クラス、50代を迎える頃には艦隊の提督くらいに出世していたかも知れない。とすると、バルチック艦隊を率いて日本海海戦を戦い(ちなみに連合艦隊側の東郷平八郎、バルチック艦隊側のロジェストヴェンスキー両司令長官は共に4つ年下)、もしかしたら勝っていた可能性も…と、妄想は日本海の荒波を駆けめぐる(笑

Ee もうひとつ、余談ながら、エルガー「威風堂々」の原題は「pomp and circumstance」(華麗にして仰々しい…というような意味)。英語タイトルだけで何の曲か分かる人はかなりの通だが、これはシェークスピアの戯曲「オテロ」第3幕のオテロのセリフ「pride, pomp and circumstance of glorious war」から取られているのだそうだ。

しかし、この部分、オテロが敵役イヤーゴの策略に嵌まって苦悩し「さらば、栄光ある華麗にして仰々しい戦いの日々よ。私オテロの全ては終わった」と嘆く悲劇的なシーンのセリフで、威風も堂々も「過去の栄光」ということ。わざわざこんな処から引用して行進曲のタイトルにしたエルガーの真意は何だったのだろう?。もともと、人名を暗号にした「エニグマ変奏曲」などを書いているような…シャーロック・ホームズばりの一筋縄ではいかないひねたインテリ紳士。何か、裏がありそうな気がする…と此処でも妄想がロンドンの霧の中を駆けめぐる。

2019年4月22日 (月)

ワルツとボレロ

Straussmenrave FM「ブラボー!オーケストラ」5月分2本の収録にNHK504スタジオへ。

5月12日(日)放送分は、シュトラウス2世「春の声」「ピチカートポルカ」「雷鳴と電光」「皇帝円舞曲」「美しき青きドナウ」、レハール「金と銀」ほか。小林研一郎指揮東京フィル(2019年1月8日第12回平日の午後のコンサートより)

5月19日(日)放送分は、メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲(vn:竹澤恭子)、ラヴェル「ボレロ」ほか。大友直人指揮オーケストラの日祝祭管弦楽団(2019年3月31日第13回オーケストラの日コンサートより)

日本に3拍子(ワルツ)が入ってきたのは、(おそらく)明治時代「鹿鳴館」の時代。ちょうどヨハン・シュトラウス2世がウィーンで大人気だった頃だ。それまでの日本には3拍子の音楽というのがほとんど存在していない。それを逆手にとって大河ドラマ「平清盛」では今様「遊びをせんとや」を3拍子で書いた。

Asobi

旋法は雅楽の平調子なのに拍子は異端というのが清盛にふさわしいと思ったのと、イチニで前進する2拍子と違って、イチニサンの三拍子は回転するリズム。くるくる(あるいはゆらゆら)回っては戦争は出来ないので「平和」の拍子…という勝手な解釈で清盛の先駆性&平和主義を象徴した(つもり)。…だったのだが、そう言えば「ボレロ」も3拍子。平安時代の物語にボレロのリズムを合わせた黒澤明/早坂文雄「羅生門」の先駆性はそのあたりにもあったわけだ。

Bolero

ちなみに、3拍子が「円」を描く拍子…というのは理系の人はすぐ「3だから」と納得するのだが、文系の人は「どうして?」と不満げになるのが面白い。ウィンナ・ワルツの2拍目が少し早めに演奏される字余り感も「円周率は3.14だから(ぴったり3では割り切れない)」と納得する人と、やっぱり「どうしてどうして?」という人が居て楽しい。

余談ながら、2拍子は2本足で前進し攻めて来る感じがするので好戦的、3拍子は回転するので平和的…という持論は、「3本足の生物ならワルツで攻めて来るんじゃない?」という思いもかけない指摘でもろくも論破されてしまった。なるほど。タコ型宇宙人なら8ビートで前進し攻めて来るわけか…。

2019年4月19日 (金)

取材@ジャパンアーツ

Ja419 金沢の音楽祭(風と緑の楽都音楽祭2019)で5月4日に左手のピアノ協奏曲「ケフェウスノート」(p:瀬川泰代さん)が演奏されることに絡み、「左手のピアノ」について北陸朝日放送の番組の取材を受ける。

左手のピアノと一口に言っても、実は色々なタイプがある。ひとつは、ラヴェルに左手のピアノ協奏曲を委嘱したヴィットゲンシュタインのように、戦争で片腕を失って左手のピアニストになった人。一方、舘野泉さんは、脳溢血により半身が麻痺したことから片手(左手)のピアニストとして活動を始めた人。また、ジストニアという神経系の障害で片手が上手く動かなくなったことから左手で活動してる人もいる。細かく云えば、それぞれ演奏の傾向も音楽性も違うわけだ。

ただ「片手でご不自由ですね」という同情に関して舘野さんは、「全然不自由じゃありません」と答えたあと、手が三本ある宇宙人から「あなたがたは手が二本しかなくて不自由ですね」と言われても「全然不自由じゃありません」と答えるでしょ?…と見事な回答を寄せている。タイプは違えども、心根が「強い」という点は共通しているのかも知れない。

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