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    ・NHK-FM 毎週日曜日19:20~20:20放送。毎月第1-2日曜日(+α)東京枠解説担当。
    ・01月05日再/12日/19日

仕事&音楽

2019年12月 1日 (日)

良いお年を…

Tachikoshostako FM「ブラボー!オーケストラ」1月分2本の収録にNHK608スタジオへ。

今回は、インバル指揮東京都交響楽団の第384回プロムナードコンサート「五大陸めぐり〜ロシア・グレイテスト・ヒッツ」(2019年11月23日@サントリーホール)を2回に分けて放送する分の収録。

1月12日(日)は、ショスタコーヴィチ「祝典序曲」、ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」(p:サスキア・ジョルジーニ)、+CDでショスタコーヴィチ交響曲第5番から第4楽章。
1月19日(日)は、チャイコフスキー「ロメオとジュリエット」「1812年」、+同じくCDでショスタコーヴィチ交響曲第15番から第4楽章。いずれも演奏はインバル指揮東京都交響楽団。

最後の〆は、ショスタコーヴィチ最後の第15番の最後の楽章。激動の二十世紀を生き残り、15の交響曲を残した彼の最後のフィナーレは、ベートーヴェンのような壮大な合唱付きでも、チャイコフスキーやマーラーのような感動的なアダージョでもなく、さりげなくオモチャ箱の蓋をパタンと閉じるような…不思議な終わり方。ここまでのソヴィエト連邦の歴史と彼の人生を思うと、手を合わせたくなるような敬虔な気分になる。

収録後、大晦日放送のFM特番用のコメントを録音。FM50周年記念と言うことで、FM番組のパーソナリティが自分の番組の紹介をする(いわゆる番宣的な)ひとこと。「お薦めの一曲」付き。

…と、これにて本年度の収録はすべて終わり、今年初の「良いお年を!」を聞くことに・・・

2019年11月19日 (火)

想像と創造の狭間で

Tatenorautioフィンランドで出版する舘野泉さんの本の取材で来日したサリ・ラウティオさん(チェロのエリッキ・ラウティオさんの奥さま)に、舘野さんとの出会いや左手のピアノ曲を書き始めたいきさつなどについてお話をする。

舘野さんのピアノを最初に聴いたのは47年前。フィンランドで勉強して帰国した新人ピアニストがいるということで興味津々で帰国リサイタルを聴きに行った。当時の舘野さんは超イケメンで(笑)アッと言う間にファンクラブが出来たほどだが……あれから半世紀。左手のピアニストとしてここまで新しい世界を開拓し、作曲家としてこういうお付き合いをすることになるとは…当時は想像もしなかった。

話は、宮澤賢治とシベリウスそしてフィンランドの関わり(初代フィンランド公使ラムステット博士は東京で賢治と会って話をしていて、銀河鉄道の中に出て来るブルカニロ博士は彼がモデルなのでは?・と個人的に思っている…などなど)や、若い頃フィンランドに行きシベリウスの別荘アイノラでピアノを弾かせてもらった思い出など、こちらも色々な記憶を呼び覚まされ、2時間ほどがアッと言う間だった。

          *

Keisansho そのあと、霞ヶ関の経済産業省「創造性研究会」へ。色々なジャンル(ノーベル賞受賞者からアニメの監督・音楽・美術界・スポーツ界まで広範囲)で創造活動を行っている人を招いて、どういう活動や性格や行為が「創造」に繋がるかサンプルを集め研究する会へ作曲家としてゲスト出演。

聞き手の方々は経営管理とか総合文化というようなジャンルを専門とされているので、どうやって作品を創るか…という話をするのに、才能とか感動とか芸術とかではなく、プロセスとかイノベーションとかランダムアクセスというような視点で説明して行くわけで、これは根が理系の私にとって個人的に非常に楽しく面白い経験だった。

会をコーディネートする経済産業政策局の新原浩朗氏は、最近菊池桃子さんと結婚して有名になった敏腕局長。私の還暦コンサートにも来て下さっていたそうで、作品や著作など隅から隅まで研究済みというファン気質の方。

今後も、発明家や建築家など様々なジャンルの人を呼んで会を続けるそうだが、成果を即レポートにして報告する「仕事」としての会議ではなく、和気藹々と話す中で「創造」へのヒントを貰う「同好会」のような性格なのだそう。こちらも、ちょっと違った視点からの対話が堪能できて2時間ほどがアッと言う間だった(笑
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2019年11月16日 (土)

左手のピアニストのための公開オーディション

Leftpiano2019昨年に続き、金沢の石川県立音楽堂で開かれた〈左手のピアニストのための公開オーディション〉に審査員の一人として参加した。

今回の審査員は、舘野泉さん、新実徳英さん(作曲)そして私の3人。順位を付けるコンクールではなく…毎年春に開かれる金沢の音楽祭に参加して下さる演奏者のオーディション…という性格から、昨年の入賞者/参加者も登場し、なんとなく同窓会?のような雰囲気も(笑

音楽祭でラヴェルの協奏曲を弾く最優秀賞は児嶋顕一郎氏、タピオラ賞(課題曲のタピオラ幻景をもっともステキに弾いた賞)に瀬川泰代さん、アイノラ賞(同じくアイノラ抒情曲集…)に黒崎菜保子さん。今回初登場の(舘野泉さんも私も「初めて見た!」と驚いた)「右手の」ピアニスト樋上眞生氏も含め、参加者全員が合格水準以上の演奏ということで優秀賞が授与され、来年5月の金沢音楽祭に出演して貰うことになった。

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2019年11月15日 (金)

展覧会の絵の運命

Verdimussorgsky_20191114133301FM「ブラボー!オーケストラ」12月分2本の収録にNHK405スタジオへ。

今回は「東京フィル第69回響きの森クラシックシリーズ(9月14日@文京シビックホール)」での曲目を2回に分けて放送。12月8日(日)は、清水和音さんのピアノで、ショパン:ピアノ協奏曲第1番/ラフマニノフ「ヴォカリーズ」。12月15日(日)は、ヴェルディ「運命の力」序曲とムソルグスキー組曲「展覧会の絵」ほか。いずれも演奏は、バッティストーニ指揮東京フィル。

前半はピアノとオーケストラによる名作(ショパン)、後半はピアノ曲をオーケストラ編曲した名作(ムソルグスキー)というプログラム。なぜここに「運命の力」なのだろう?と思って調べてみると、このオペラ、ロシアの歌劇場からの依頼で書いたもので初演はペテルブルク。当然ヴェルディもロシアに出向いたわけで、当時ペテルブルクで音楽の勉強をしていたデビュー前の23歳のムソルグスキーとの接点があることになる。なるほど。

ちなみに、このムソルグスキーの書いた「展覧会の絵」というのは(多くの音楽家がアレンジに挑戦しているように)とんでもなく不思議な魅力に満ちた曲なのだが、ムソルグスキー自身は、親友ハルトマンの遺作展を見て強烈なインスピレーションに駆られ数週間で書き上げたものの、そのまま演奏もせず出版もせず死んでしまった…と聞くと何とも怖ろしい脱力感に襲われる。死後40年以上たってロシア系指揮者クーセヴィツキーが「この曲をラヴェルに管弦楽編曲して貰ったらどうだろう」と思い付いたことで、このクラシック音楽屈指の人気曲が世に出たわけだが、それがなかったらどうなっていたのだろう?(EL&Pも冨田勲も運命が変わってしまっただろうし)。考えるだに怖ろしい。

クラシック音楽界にはこういう怖い話があちこちにあって、むかし「作曲なんて、無人島で手紙を書いてビンに詰めて海に流すようなもの」と自虐的に書いたことがあるが、40年漂流した後で巨大客船に拾われたのは奇跡的な幸運。しかし、…拾われたと思ったらタイタニック号だった…というような…想像しただけで鬱病になりそうな話も、おそらく沢山(かどうかは分からないが)あるような気がする。

2019年10月27日 (日)

プログレ取材

Sd先日、サウンドデザイナー誌よりプログレッシヴロックについての取材を受けた。

革新的(Progressive)ロックとはいうものの、キングクリムゾンの「クリムゾンキングの宮殿」(1969)あたりをプログレ元年とすると、早50年。なんと半世紀が経つわけだ。ちなみに写真のテーブルの上に置いてあるのは「タルカス」のスコア。この曲も元のアルバムの発表が1971年だから、48年前の作品。作曲者K.エマーソン氏も鬼籍に入られ、今や「クラシック音楽」ということになる。

そう言えば「現代音楽」というのも、シェーンベルクが無調の海に漕ぎだした時点(1910年代)から数えればもう100年。どちらも先鋭さが「懐かしい」という不思議な感慨に襲われる。

これから50年先、100先に音楽はどうなっているのか?…と思うより先に、果たして人間世界はどうなっているのか?…いや、そもそも存在しているのか?…そちらの方が心配になってくる。

2019年10月15日 (火)

ボヘミアンの光と影

BohemiaFM「ブラボー!オーケストラ」10月分の残り1本の収録にNHK405スタジオへ。

今回は10月20日(日)放送予定分で、ウェーバー歌劇「魔弾の射手」序曲とドヴォルザークの交響曲第8番。小林研一郎指揮東京フィル(2019年10月8日第15回平日の午後のコンサートから)・・・の筈だったのだが、収録後、ラグビーのW杯放送の関係で11/10(日)に飛ばされることが決定。

ボヘミアの暗い森が舞台の「魔弾の射手」とボヘミアの明るい自然と肯定的人生を描く「ドボ8」という組み合わせ。ちなみに、ボヘミア(Bohemia)というのはチェコ中西部あたりを指す地名だが、古くはヨーロッパ東部(ドイツ〜ポーランド〜オーストリアの一部を含む)一帯の呼称だったようで、日本で言うと「東国/あづま」とか「坂東」「武蔵の国」といった感じだろうか。

都(みやこ)から見た東国と同じく、ボヘミアは良く言えば自然に溢れた素朴な・悪く言えば未開な田舎のイメージのある森と草原の広がる地域。人々は革の帽子に革のズボンで馬を乗りこなしていて(このあたりは坂東武者のイメージと重なって興味深い)、このスタイルがアメリカのカウボーイの起源になったと言うから面白い。

この「東(遠く)から来た異邦人」…というイメージが、ジプシー/ロマのような移動生活者/放浪者の呼称となり、さらに…さすらう旅人=芸術家肌で世間や因習に囚われない自由な人間(悪く言えば、定職のない住所不定の芸術家くずれ)…をボヘミアンと呼ぶようになる。ちなみに、マーラーはボヘミア地方(チェコ)生まれなので生粋のボヘミアン。クイーンのフレディ・マーキュリーはザンジバル生まれだがボヘミアン。人はボヘミアンとして生まれるのではなく、ボヘミアンになるのである。たぶん。

2019年10月 1日 (火)

祭りと惑星とEKB

Img_0839 FM「ブラボー!オーケストラ」10月11月分2本の収録にNHK405スタジオへ。

10月13日(日)放送分は、フチーク「剣士の入場」、オッフェンバック「ホフマンの舟歌」、ドリーブ:バレエ組曲「シルヴィア」、レスピーギ「ローマの祭り」。バッティストーニ指揮東京フィル(2019年9月8日第81回休日の午後のコンサートから)。

11月17日(日)放送分は、ホルスト:組曲「惑星」。バッティストーニ指揮東京フィル/新国立劇場合唱団(9月13日第925回サントリー定期から)

オーケストラのいわゆるスペクタクル・サウンドを堪能する二大名曲だが、「ローマの祭り」(1928)は独裁者ムッソリーニが登場した時期にローマ帝国のネロ皇帝を描いた音楽から始まる作品。そして「惑星」(1914/16)はまさに第一次世界大戦真っ只中の時期に「戦争の神/火星」を描いた音楽から始まる作品。…と、その背景はちょっと怖い。共に、最後は平和に(ローマの祭りは賑やかな乱舞で、惑星は消えゆくような神秘の静けさで)終わるのが救いと言えば救いか。

後半の「惑星」では、担当ディレクター氏も少年時代からの天文マニアだったらしく、「水金地火木土天海冥」という呪文に始まって「水星の実視等級は…」とか「冥王星が準惑星になったいきさつは…」とか「小惑星帯とエッジワース・カイパーベルトは…」とおじさん二人で天文談義が始まる。そう言えば、エッジワース・カイパーベルト(Edgeworth-Kuiper Belt。海王星の外にある細かい天体の帯)から48人の宇宙人が来て〈EKB 48〉と名乗る…というジョークはどこで読んだのだっけ?

2019年9月14日 (土)

三人閑談@三田評論

Keio3三田評論2015年12月号に掲載された冨田勲/吉松隆/藤岡幸夫の三人閑談〈音楽家になるなら慶應に行こう〉→*** が三田評論 ON LINEで読めるようになった。

この三人ちょうど20/10年違いで、慶應義塾高校/大学の先輩後輩。鼎談は2015年10月9日に三田の慶應義塾大学で行われたが、冨田さんはその半年後(翌年5月5日)に他界。別れ際に「一緒に一杯飲みたいんだけど、体の具合があまりよくなくてね」と仰ってタクシーに乗って帰られたのが最後の思い出。あれからもう4年が経つ。

2019年9月 5日 (木)

新世界を造った女性たち

Dvorakthurber FM「ブラボー!オーケストラ」2本の収録にNHK404スタジオへ。

9月29日(日)放送分は、ドヴォルザーク:交響曲第9番〈新世界から〉。チョン・ミョンフン指揮東京フィル(2019年7月18日の東京フィル第924回サントリー定期より)
10月6日(日)放送分は、同じ公演から、シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(vn:クリステル・リーさん)。および小林研一郎さん指揮でスメタナ:交響詩〈モルダウ〉(2019年1月8日第12回平日の午後のコンサートより)

新世界交響曲は今までもさんざん放送したし解説してきたので、今回はちょっと目先を変えて、そもそもドヴォルザークをアメリカに招聘したお金持ちの女性ジャネット・メイヤーズ・サーバー(Jeanette Meyers Thurber 1850-1946)という人について調べてみた。

この女性、NY生まれでデンマーク系移民のヴァイオリニストの娘さん。パリ音楽院で音楽を学び、19歳の時に食料品販売の夫と結婚。商売が成功して結構な富豪になったことから、そのお金でアメリカのクラシック音楽普及に情熱を傾け、音楽祭やオーケストラの後援をし、さらにオペラカンパニーや音楽学校まで創設してしまう。そして、その新しく造ったナショナル音楽院に箔を付けるため、学長に誰か有名な大物音楽家を…と考えて文字通り「白羽の矢」が立ったのがドヴォルザーク。当時50歳でプラハの音楽院の教授をしていて英語も話せたので、まさに適材!ではあったのだが、当人はそんな遠いところに行くのはイヤ…と固辞。しかし、彼女は諦めず、プラハでの彼の給料の25倍!とも言われる破格の年棒を提示し、その金額に驚いた奥さんが旦那を説得。結果、アメリカ行きを決意したのだそうだ(ただし、ホームシックに駆られてわずか2年半で職を辞して帰国してしまうのだが)。

つまり(歴史に「もしも」は禁句ながら)、この女性の無謀な押しの一手と夫人の説得がなかったら、新世界交響曲もチェロ協奏曲も弦楽四重奏曲アメリカも生まれなかったわけで、新世界の生みの親はこの二人の女性と言っていいのかも知れない(のかも知れない)。

2019年7月26日 (金)

幻想の妄想

ScoreaFM「ブラボー!オーケストラ」8月分2本の収録にNHK403スタジオへ。

今回は6月29に行われた九州交響楽団の演奏会(音楽監督の小泉和裕さんとの共演100回記念コンサート)を、前半後半と2回に分けて収録。

8月11日(日)は、前半の曲目:スッペ「詩人と農夫」序曲、リスト:ピアノ協奏曲第1番(p:広瀬悦子さん)。および九響のCDから、ムソルグスキー「禿げ山の一夜」とボロディン「中央アジアの草原にて」。

8月18日(日)は、後半の曲目:ベルリオーズ「幻想交響曲」。いずれも九州交響楽団第17回名曲・午後のオーケストラ@アクロス福岡シンフォニーホールより。

最近ベルリオーズ自筆の楽譜の第4楽章(断頭台への行進)表紙↑を見て、かなりアブナイ人がアブナイ状態で書いたことを再確認(笑。
この曲の成功のあと、一応作曲家として名を成し、別の女性となんとか婚約したそうなのだが、こんなアブナイ人と結婚しちゃダメよ、と彼女の母親が別のまともな男性との結婚を取りまとめて一方的に破談。それを知ったベルリオーズ先生、激高してこの母娘の殺人計画を練り、拳銃を隠し持ったうえ女装!して馬車でパリに向かったというから、もう少しで殺人・死刑・断頭台の話が幻想でなく現実になる処だったらしい。まあ、そのくらいの狂気がなければ、これほどぶっ飛んだ曲は書けない…ということなのだろうが、それにしても、それほどヘンな曲なのに「名曲」という認識で聴いてしまうのはなぜ?

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