一つの時代が終わった・・・
草津音楽祭(草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァル)8月17日から30日まで開催。
昨年9月の音楽監督:西村朗の逝去を受けて今年一年間臨時代行として〈音楽顧問〉を拝命することになりました。〈音楽監督〉は事務局長:井阪紘。今年のテーマは〈モーツァルト~愛され続ける天才〉
富山の桐朋学園大学院大学特別企画講座に出向き「音楽とは何か」を語る。
音楽と言えば「リズム・メロディ・ハーモニー」だが、そもそもその3つがどうやって人間の文化に組み込まれ「音楽」となって行ったのか。
数十億年前の原始の海にプカプカ漂う原生生物の時代から・耳が出来・陸上に上がり・二足歩行を始め…やがてリズムを叩き始め・歌い始め・音楽文化を花開かせる数百万年の歴史を俯瞰する自前の「SF(少し・不思議な)」音楽論。
そのうち本にでもしようかと思いつつ挫折したままほったらかしになっていたモノだが、サテ、死ぬまでの暇つぶしに書き起こしてみようかどうしようか…。
ちなみに、今回の話は、ここで教授を勤めている田部京子さんから「何か学生相手に音楽について話してくださいませんか(富山はお魚もお酒も美味しいですし)」と言われ、ふらっと行く気になってしまったのがきっかけだが、なにしろ独学の身なので音楽大学で講義をするなどというのは今回が初めて。一応、(一回限りの)特別招聘教授という扱いだったのだが、肩書きなど貰ったのは中学校の時の学級委員長以来(笑)
監修を担当したNHKニューイヤーオペラコンサート「メサイア・ファンタジー」のリハーサルに立ち会う。
編曲/オーケストレイション:上田素生。
バリトン:大西宇宙、沼尻竜典指揮東京フィル、合唱(新国立劇場合唱団/二期会合唱団/びわ湖ホール声楽アンサンブル/藤原歌劇場合唱部)。
放送は2024年1月3日(水)19時から@NHK Eテレ。
NHKFM特集「今日は一日 NHK Classic 三昧」という番組用に若手音楽家:江崎文武氏と対談。過去40年間ほどの体験談(FM黎明期の話・大河ドラマや電子音楽スタジオ・番組MCなどの裏話)から未来の展望まで。
放送は11月23日(祝木)12:15〜21:15。対談パートは後半夜の部の「未来のNHKクラシック」で19:20頃から45分ほどの予定。
読響プレミアの公開収録(東京オペラシティ)で交響曲第5番の演奏に立ち会う。演奏は原田慶太楼指揮読売日本交響楽団。
私が14歳の時に作曲家を志したのは、父親が持ってきた「運命」のスコア→がきっかけだ。そのせいで「ジャジャジャジャーンで始まりハ長調のトニカで終わる交響曲」を書く…というのが終生の夢になった。
2001年にその夢を叶えた時、父親は癌の闘病中。初演は車椅子で聴きに来てくれたが体力が落ちていたので、「やかましい曲だな」と言っただけだった。そのあとイギリスで録音し、「父親に捧ぐ」と解説に書いた…と言うと「いいのか?そんなこと書いて」と戸惑いながら喜んでくれたが、翌年CDを聞くことは叶わないまま亡くなってしまった。
父の葬儀のあと書斎に有るゲーテのデスマスク(曾祖父がドイツ留学した時に手に入れたものらしい)を見ていたら、ゲーテがベートーヴェンの第5を聞いたとき「やかましい曲だな。天井が落ちてきそうだ」と言ったという話を思い出した。音楽を巡って色々なものが収束してゆく不思議な縁を感じ続けている。
ちなみに、この曲は「運命」と同時に「ファウスト」仕立てでもあり、突然現れて人生を変えてしまう悪魔(メフィストフェレス)と喪失した物(グレーチェン)がテーマ。
父親が持ってきた運命のスコアが最初の「悪魔」だが、その後突然現れて私のオーケストラ全曲を演奏し録音し始めたフジオカ氏が次の「悪魔」。そして今、第三の悪魔ハラダ氏が「交響曲を全部演奏する」と言い出してコンプリートしつつある。
人生いろいろ。「運命」もいろいろ。Verweile doch, du bist so schön!
余談ながら、1994年にサイバーバード協奏曲を初演して貰ったのもこの番組(当時は「読響オーケストラハウス)。あれから30年ほど経つ。