フォト

Home page

お知らせ

  • 音楽館
    作品視聴…映像付き
  • 楽譜出版《ASKS.orchestra》交響曲,協奏曲,室内楽などのスコアを電子版(PDF)で販売中。海外向け→**
    出版作品一覧→***NEW
  • 《図解クラシック音楽大事典》(学研)イラストとまんがでオーケストラや楽典から音楽史までを紹介する掟破りの入門書。旧〈音楽大事典〉の超大幅改訂復刻版。
    作曲は鳥のごとく》(春秋社)自らの作曲家生活を綴った独学の音楽史@2013年3月刊
    《調性で読み解くクラシック》(ヤマハ)調性および音楽の謎を楽理・楽器・科学・歴史から読み解く文庫版入門書。
  • ブラボー!オーケストラ
    ・NHK-FM 毎週日曜日19:20~20:20放送。毎月第1-2日曜日(+α)東京枠解説担当。
    ・01月06日/13日
    ・02月03日/10日

2019年1月22日 (火)

7番か8番か9番か

Moscrosa_2FM「ブラボー!オーケストラ」2月分2本の収録にNHK403スタジオへ。

2月3日(日)放送分は、前半にモーツァルト:フルートとハープのための協奏曲(fl:工藤重典、hp:山宮るり子)三ツ橋敬子指揮東京フィル@2018年7月6日第10回平日の午後のコンサートより。後半は大谷康子さんのヴァイオリンで、チャルダッシュ、タイスの瞑想曲、チゴイネルワイゼン。渡邊一正指揮東京フィル@10月1日第11回平日の午後のコンサートより。

2月10日(日)放送分は、ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲、シューベルト:交響曲第8(9)番〈ザ・グレート〉。バッティストーニ指揮東京フィル@2018年11月21日第121回東京オペラシティ定期より。

Nomiya2ひさしぶりに〈ザ・グレート〉を堪能。ただ、未だにシューベルトのこの大ハ長調交響曲を〈第8番〉と呼ぶのに違和感がある。そもそもシューベルトが生前書き残していた交響曲は6曲。それが死後10年ほどして机の上に未発表の交響曲のスコアが残されているのをシューマンが発掘し、メンデルスゾーンが初演。直前の6番と同じハ長調だったので6番を「小さい方」この曲を「大きい方(ザ・グレート)」と呼ぶことになった。この時点では《交響曲第7番》である。

ところが、さらに30年ほどして、埋もれていた〈未完成の交響曲(ロ短調)〉の楽譜が見つかる。7番の後に見つかった遺作なので《交響曲第8番:未完成》ということになった。しかし研究の結果、この曲は最後の交響曲より前の25歳頃に書かれたことが分かり、28歳で書かれたグレートの方が番号は後、ということで《第9番》となった。この方が最後の交響曲として座りがいいし、単なる「大きい方」という呼称も「偉大な(ザ・グレート)」な感じがして悪くない(そもそもシューベルト自身がフィナーレに「第九」の主題を紛れ込ませているほどだし)。というわけでLP時代は《交響曲第8番:未完成》《交響曲第9番:ザ・グレート》として音楽愛好家に親しまれてきた。

…のだが、シューベルトが完成させた交響曲はそもそも(未完成のロ短調を含めて)8つ。ということは交響曲全集を作ると1曲欠番になってしまうわけで、1970年代に国際シューベルト協会が番号を繰り上げ調整し「未完成が第7番、グレートが第8番」としてしまった。CDの時代からの表記はこれに倣うようになったものの、一時は〈第7(8)番:未完成〉〈第8(9)番:ザ・グレート〉とかなり混乱した表記が見られたし、解説する側も心の底で「余計なことしやがって!」と不満垂れつつ…「8番なんですが、前は9番で、元々は7番と呼ばれていて…」と説明したものである。いや、これはこれから先も(この曲が演奏される限り)延々続くのだろうけれど。

ちなみに、バッティストーニ氏の今回の演奏は、速めのテンポでこの曲の「天国的な長さ(冗長さ)」をスッキリ整理し、マーラーやシベリウスにも通ずるような乱反射する色彩とロマンを聴かせ、なかなか見事な演奏。こういう演奏を聴くと「第8番」っぽい感じがしないでもない。なぜだろう。

Nomiya

2018年12月10日 (月)

羨ましい作曲家たち

RssFM「ブラボー!オーケストラ」2本の収録にNHK 401スタジオへ。

12月16日(日)放送分は、ロッシーニ「ウィリアムテル」序曲、ベートーヴェン交響曲第7番。渡邊一正指揮東京フィル(2018年10月1日第11回平日の午後のコンサートより)

そして来年1月13日(日)放送分が、ロッシーニ「アルジェのイタリア女」「チェネレントラ」序曲@バッティストーニ指揮東京フィル(11月12日第121回オペラシティ定期より)。サン=サーンス交響曲第3番「オルガン付き」ミョンフン指揮東京フィル(10月5日第911回サントリー定期より)

古今の大作曲家たちには「彼らのような才能が欲しい・彼らのような音楽を書きたい」と憧れることはあっても、「彼らのような人生を歩みたい」と思うことは極めて少ない。素晴らしい音楽と引換えの罰ゲームのような人生がほとんどだからだ。

そんな中で「幼少時から神童と称えられ、青年期には人気作曲家として名を成し、奥さんにも子供にも経済的にも社会的にも恵まれて巨匠となり、悠々自適な晩年を過ごしてそこそこ長生きをする」タイプも稀に存在する。ロッシーニとサン=サーンスはその代表格かも知れない。

特に、20歳頃から年に4つも5つもオペラを書き飛ばして時代の寵児となり、人気絶頂の三十代後半でさっさと引退し、残りの人生はグルメ&美食三昧。それでも70代後半まで長生きしたロッシーニは「せめてなりたや」の憧れレベル。
同じく神童から巨匠になり、ピアノとオルガンの達人にして詩や絵から数学・天文学まで玄人はだしだったというインテリ博学のサン=サーンスも捨てがたい。もう何もかも手遅れだが・・・

2018年11月27日 (火)

懐かしのクラシック

PhotoFM「ブラボー!オーケストラ」2本の収録にNHK501スタジオへ。今回は「東京フィル(休日/平日)午後のコンサート」からクラシック名曲小品を集めた2回。

12月9日(日)放送分は、休日の午後のコンサート第77回(2018年9月9日)から、スッペ「詩人と農夫」、ボアエルデュー「バグダッドの太守」、シュトラウス「ウィーンの森の物語」、R=コルサコフ「スペイン奇想曲」ほか。指揮:円光寺雅彦さん。

新年1月6日(日)放送分は、平日の午後のコンサート第10回(2018年7月6日)から、メンデルスゾーン「結婚行進曲」、チャイコフスキー「花のワルツ」、ビゼー「アルルの女」第2組曲、ワグナー「タンホイザー」序曲。指揮:三ツ橋敬子さん。

いずれも、むかし(子供の頃)音楽の時間・給食の時間・名曲ソノシート・などで無理やり聞かされた…もとい、楽しく聞き親しんだ「懐かしの」クラシック。
新春放送回は(なんと結婚行進曲で始まる!)「愛」にちなんだ4曲だが、幸福な響きの「花のワルツ」のあと、アルルの女(奔放な愛人と貞淑な許嫁の間で悩む純情男が最後は自殺)、タンホイザー(純粋な愛と快楽の愛との間を彷徨う主人公が最後は恋人共々悶死)と、愛が徐々に崩壊してゆく怖い構成になってしまった。

2018年11月16日 (金)

耳の遺言

Photoあんさんぶる誌の連載(音楽についてのあれやこれや)で「耳」について考える。

現在のように高性能かつ複雑になっている聴覚器官を電子顕微鏡的に分析しても「音楽とは何なのか?」は結局よくわからない。それはネコが最新のiPadをバラバラに分解しても「何がどうなっているのか」分からないのと同じで、その一台を存在させるに至ったプログラムやネットワークや現代社会のプロセスを理解できないからだ(それはカレーライスをいくら科学的に分析しても、最も重要なことである調理のプロセスや食材の性質そして食の伝統などは分からないのに似ている)。

そろそろ地球をAI(人工知能)に譲らなければならない雰囲気の今日この頃、死にかけた最後の人類の枕元でロボット氏に「結局、音楽ッテ何ダッタンデスか?」と問われたとき、それらしいアルゴリズムくらいは遺言で残したいような気がするのだが。そういう研究はどこかで誰かがしているのだろうか。

2018年11月10日 (土)

左手ピアノ公開オーディション

Kanazawalpaa金沢の石川県立音楽堂で開かれた〈左手のピアニストのための公開オーディション〉に審査員の一人として参加してきた。

もともとは舘野泉さん・一柳慧さん・末吉保雄さんのお三方による審査だったのだが、この夏に末吉さんが亡くなられたため急遽代理の審査員を務めることになった次第。
審査員…という役は全てお断りしてきた(なにしろ音楽界で一度もコンクールや賞の審査に通ったことがない独学の食わせものの身なので後ろめたいのである)のだが、舘野さんの要請で文字通り「押っ取り刀(&日帰り)で」駆けつけることに。

今回のオーディションの参加者は、実際になんらかの身体的事情で左手のみの演奏をしている方ばかり。
Kanazawaそれぞれ個性的な音楽を持ったハイレベルの方々が集まったが、その中から、車椅子の身で圧倒的な演奏を聴かせた月足さおりさんと、私の「タピオラ幻景」や協奏曲「ケフェウスノート」なども既に演奏している瀬川泰代さんの二人が最優秀賞に選ばれ、来年春の金沢音楽祭に協奏曲のソリストとして招かれることになった。

2018年10月22日 (月)

亡き子は天に遊ぶ

MahlergFM「ブラボー!オーケストラ」2本の収録にNHK605スタジオへ。

今回は、2018年10月13日の神奈川フィルみなとみらい定期から、マーラーの〈交響曲第4番〉と権代敦彦〈子守唄〉の2曲を(時間の関係で)2回に分けて収録。

11月4日(日)放送が、マーラー〈交響曲第4番〉の前半第1楽章から第3楽章まで。
そして(ちょっと離れて)12月2日(日)放送が、後半の第4楽章(ソプラノ:市原愛)と〈子守唄〉。演奏は川瀬賢太郎指揮神奈川フィル。権代作品はメゾソプラノ:波多野睦美、ピアノ:野田清隆、横須賀芸術劇場少年少女合唱団。

〈子守唄〉は、大阪の池田小事件で犠牲になった娘を偲ぶ母親の手記と旧約聖書やミサ曲の典礼文を交錯させた感動的な作品。この現代版「亡き子をしのぶ歌」を交響曲第4番の〈天上の生活〉で受けるという構成(…なのだが、放送の都合で2回に分割され、しかもひと月近く間が開いてしまうという仕様に)

それにしても、このうえなく美しい響きの中で「天国はいい処だよ」と歌われるマーラーの曲は…怖い。何の苦しみもなく安らかで楽しい世界…それは「死」の向こうにしかないからだ。…などという聴き方をすること自体、マーラーの毒に取り込まれている証拠なのだろうけれど。

2018年10月 2日 (火)

ショスタコーヴィチ二題

SdrFM「ブラボー!オーケストラ」10月分2本の収録にNHK402スタジオへ。

10月14日(日)放送分は、ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番(vn:パヴェル・ベルマン)、バッティストーニ指揮東京フィル(5月31日第908回サントリー定期より)ほか

1810
10月21日(日)放送分は、ラヴェル:ピアノ協奏曲(p:小山実稚恵)、ドビュッシー交響詩「海」。ロレンツォ・ヴィオッティ指揮東京フィル(7月19日第910回サントリー定期より)

          *

岩波書店「図書」10月号届く。

この6月に神保町ブックセンターで行った、亀山郁夫氏との「ショスタコーヴィチ〜引き裂かれた栄光」刊行記念トークイベントから…対談「ショスタコーヴィチの謎と仕掛け」… を収録。

20世紀音楽が見た夢が、枯れ野を駆けめぐる。

2018年9月28日 (金)

ラプソディとコンチェルト

Ravelgershwin_2FM「ブラボー!オーケストラ」10月分1本の収録にNHK404スタジオへ。

今回は10月7日(日)放送分で、ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」(p:萩原麻未)渡邊一正指揮東京フィル@6月24日第909回オーチャード定期より。
およびラヴェル「道化師の朝の歌」、ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」ヴィオッティ指揮東京フィル@7月19日第910回サントリー定期より。

20180928_2夜は池袋の東京芸術劇場へ田部京子さんと日本フィル(指揮:藤岡幸夫氏)のコンサートへ。
モーツァルトの第21番とグリーグのイ短調というコンチェルトxコンチェルトの夕べ。

気が付くと、オーケストラのコンサートを聴きに行くのは(広島での仕事の出演以外は)たぶん今年初めて。田部さんのピアノは相変わらず美しさと詩情に溢れ、藤岡&日本フィルはダイナミックで色彩豊かな演奏。…なのだが、こちらは今音楽からは遠く離れたところに居るので、何というか…草葉の陰から聞いている感じ(笑

藤岡クンは顔を合わせると「第7番はいつ出来るんですか?」と責めるのだが、「死ぬまでにネ」としか言いようがない。もうひとつ、20年以上前に書いたままお蔵入りになっている〈シューベルトのピアノ協奏曲〉も…日の目を見せるべきなのか、見せるべきでないのか思案中。

2018年9月 3日 (月)

金魚によせる2つの雨の歌

Photo 舘野泉さんの11月のリサイタル用に作曲を進めていた左手ピアノの作品、ようやく脱稿する。

〈金魚によせる2つの雨の歌〉と題する小品で、「雨の歌」「雨の踊り」の2曲からなる演奏時間10分ほどの作品。ピアノソロの曲ではあるのだが、今回はちょっと趣向を変えて、録音された伴奏音(ドローンとリズムパターン)との擬似デュオ仕立て。

もともとは舘野さんからの「色っぽい曲を書いて下さい…」というリクエストで、室生犀星の「蜜のあはれ」に出て来る金魚と老作家の会話のイメージ(存在しない存在との擬似デュオ)で書き始めたのだが…

Photo_3 …この夏の殺人的暑さと介護疲れからだんだん色っぽさは蒸発してゆき、「乾いた金魚が干涸らびた池の底で人生の最後に夢見る雨乞いの歌と踊り」というビジョンに変質…タイトルの可愛らしさとは程遠い世界に仕上がった(ような気がする)。

初披露は、11月9日(金)「舘野泉ピアノ・リサイタル」@東京文化会館小ホール(…の予定)。

2018年7月23日 (月)

故きを温ねて新しきは猛暑

BernsteinrespighiFM「ブラボー!オーケストラ」9月分の収録にNHK401スタジオへ。

今回は9月2日(日)放送分の1本で、バーンスタイン「キャンディード」序曲、レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲」「ローマの松」。渡邊一正指揮東京フィル(2018年6月24日第909回オーチャード定期より)

いずれも、過去の魂を現代に蘇らせた温故知新な作品で・・・
「キャンディード」は、18世紀の哲学者ヴォルテールが書いた壮大なピカレスク・ロマンを現代舞台に蘇らせたドタバタ喜劇的なミュージカルの序曲。
「古風な舞曲とアリア」は、図書室に眠っていた17世紀の作曲家の古いリュートの楽譜を現代風ストリングスの響きで蘇らせた清楚で美しい組曲。
そして「ローマの松」は、古代から現代までのローマという都市の記憶の底の心象風景をオーケストラによる超弩級のスペクタクル・サウンドで描いた交響詩。

収録を終えて街に出ると…都内でも40度を超えるという歴史的な猛暑。
悪魔がポンと現れて「音楽を取るか・エアコンを取るか?」と問われたら、即「エアコン!」と答えてしまいそうになる。
これはもう完全に、地球が人間を駆除しにかかっていると思うしかない。

そんな中で、音楽は無力だ。
でも、人間は…しぶとい。

より以前の記事一覧